今でも「軽さは善」か、「今さら世界最軽量」なのか vol.1 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

今でも「軽さは善」か、「今さら世界最軽量」なのか vol.1

オピニオン インプレ
今でも「軽さは善」か、「今さら世界最軽量」なのか vol.1
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安井行生のロードバイク徹底インプレッション
安井行生プロフィール

今でも「軽さは善」か、「今さら世界最軽量?」なのか
ライバル達が揃って「いかに効率よく空気の壁を切り裂くか」に注力する中で、他とは明らかに異なるレベルの軽さを掲げて登場したスーパーシックスEVO。しかし、世には軽量化によるメリットが軽くすることで生じたデメリットを上回ることができない“名ばかりの軽量フレーム”も多く存在する。ジャストサイズの試乗車で500km以上を走り込んだ安井が迫る、「695gの真実」。
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
ロードフレームにおいて軽さを “最” 重視する時代は終わった、と思っていたし、軽いフレームが必ずしもよく走るというわけではない、という経験則も持っている。実際にコルナゴ、ピナレロ、タイムなどは軽量性をさほど重視しないフレーム作りを貫いている。UCIルール改定の動きがあるとはいえ、過度の軽量ブームが落ち着き、ロードバイクシーン全体がエアロ化に向けて舵を切り始めた中でデビューしたスーパーシックスEVO。それが掲げる695gという数字は、今になって?という印象を与えないわけではなかった。
素直に受け止めれば確かに凄い。これは、世界で数えるほどしか存在しないであろうフレーム単体重量700gを切るロードフレームなのである。900g以下というCR-1がデビューしたときのあの大騒ぎが嘘のようだし、ついこの間まで最軽量だと言われてきた量産フレームから一気に100g近くを削り落としてきたのだから、カタログを見ればすごい時代になったものだ、と思う。
このバイクはその名のとおり、キャノンデール初のフルカーボンバイク、スーパーシックスの進化形である。4ピースモノコック (トップ~ヘッド~ダウンチューブ、BB~シートチューブ、左右のシートステー~リアエンド~チェーンステー) となるこのフレームは、全体的に細身なシルエットが特徴だ。前作となるスーパーシックスHi-MODに比べ、フォークは15%、ダウンチューブは20%も細くなっているという。特にチェーンステーは、最近のレーシングバイクにしては珍しいほどスリムである。剛性バランスと空力を考慮した結果、ヘッドチューブ下ワンも前作の1-1/2インチから1-1/4インチへとサイズダウンしている。これまで 「大口径」 で鳴らしてきたブランドとは思えないほどの設計思想大転換である。これらには、最少サイズでもシルエットにロードバイクらしい美しさが保たれているという副次的なメリットもある (マッチョなヘッドチューブを持つHi-MOD以前のスーパーシックスではこうはいかない)。
カタログによると、フレーム単体重量695gという軽さを記録しつつも、重量剛性比142.3NM/Deg/Kgという非常に優れた数値をドイツの第三者検査機関による検査で記録したそうである。数字だけ見せられても何が何やらサッパリ分からないが、「ただ軽いだけではない」 という意思表示であることは理解できる。ただ、これは理詰めで攻めてくる巨大メーカーが主力機種をモデルチェンジする度に出してくる種のデータ。確かに凄そうな数値だが (メーカーHPでは他ブランドフレームとの比較も見ることができる)、インプレッションとは切り離して考える必要がある。
重量の他に素直に凄いと思わせてくれるもう一つの数字が、その価格である。フレームセットでアンダー40万。声にならない悲鳴を上げているライバルメーカーは多いだろう。しかもこの695gという数字、メーカーがよくやるようにフレーム小物をつける前の最小サイズ・未塗装状態の偽りの重量ではなく、塗装済みフレーム (アルティメイトカラー/サイズ56) の実測だそうである。

スペック
キャプション
初代が嘘のような完璧なバランスを持つEVO
軽量化がもたらすものは、果たしてメリットだけなのか
デビュー当時のスーパーシックスの剛性バランスは、決して褒められたものではなかった。フォーク~ヘッドがとにかく硬く、スムーズにダンシングさせるにもコツが要った。ハンドルの振り幅の一番大きいところで推進力が淀んでしまうのも好きになれなかった。特に筆者が乗るような小さいサイズだとバランスが明らかに崩れており、「やっぱりキャノンデールはフルアルミのメーカーなのか?」 と思わされたものだ。その頃のキャノンデールは、まだアルミという素材と相性がいいフレーム作りをしていたのだろう。
しかしそれが嘘のように、EVOのバランスは最初から完璧だ。このバイクに乗った誰もが口にする 「軽量フレームとは思えない」 という感想には、完全に同意したい。軽量バイクにありがちなヒラヒラとした薄氷を踏む感覚はほぼゼロで、非常に懐が深くライダーフレンドリー。良くも悪くも軽さを感じさせない。少なくとも、軽さの弊害、扱いにくいとか、乗り心地が悪いとか、パリパリしすぎているとか、フニャフニャで走らないとかは全くない。
パワープレイではなくテクニックで勝負
爆発的という感じこそないものの、加速力そのものはかなり良好だ。この加速の良さはある程度重量があるホイールであっても感じられるため、物理的な軽さというよりは、フレームの絶妙な剛性感によってもたらされているものだろう。絶対的な剛性自体はいたって普通のレベルで、圧倒的剛性によって動力性能を保っているタイプではない。踏み始めでフレーム表面がシュッとしなり、次の瞬間芯がクッとねばる、という計算されたような美しい動作を繰り返しながら、軽快かつ滑らかにスピードを上げていく。パワープレイではなく、テクニックで勝負するフレームである。フレームに比べると常識的 (315g前後) な重量を与えられたフォークも、この小気味いい加速に寄与していると思われる。おかげでブレーキの効きも文句なし。正しい設計である。
ハンドリングは軽快で、直進安定志向のセッティングに慣れているとクイックだと感じられることもある。ただ微舵応答性は程よく丸みを与えられているため、操舵に融通が効く。各部のマイクロサスペンションは効果的に機能しており、ある程度のショックはしっかりと伝えつつ振動の減衰は速い。サスペンション効果によってタイヤと路面とのコンタクト時間が長いからだろうか、常に安定している。
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