【アーカイブ2009年】LOOK585はまだ輝いているか?…安井行生の徹底インプレ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【アーカイブ2009年】LOOK585はまだ輝いているか?…安井行生の徹底インプレ

オピニオン インプレ

安井行生のロードバイク徹底インプレッション




デビューから5年、585はまだ輝いているか?



登場からすでに5年を後にしようとしているLOOK



585を、いまさらながら、安井が本気で走らせた。その動機は完全なる個人的興味。その走行距離は300km以上。前回の586に次世代への飛翔を見た彼は、585にどんな評価を下すのか。前身であるKG481SLを愛してやまない彼は、585に何を感じたか。



(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)



トップグレードに限っていえば、281、381、481とほとんどシルエットを変えることなく、細くしなやかなカーボンフレームを作り続けてきたLOOKが、2004年に突如として発表したフラッグシップモデル、585。それは、それまでのLOOKとは似ても似つかないほどに変貌した新型車だった。チューブは太く、そしてスローピングになり、小さなサイズでも72.5度と寝ていたLOOKならではのシート角も、あっけなく一般的な数値になってしまった。サドルを大きく後退させたい僕にとって、381や481は唯一セットバックピラーを使う必要のない貴重なフレームだった。今から思えばLOOK最後のホリゾンタルフレームとなってしまったKG481SLに完全に惚れ込んでいた当時の僕は、そんな585を見てLOOKよおまえもかと溜息をついたものだった。



しかし上陸と共に各メディアで絶賛され、特にヒルクライマーから圧倒的な支持を得たこのニューモデルは瞬く間に多数が日本の路上を走り始め、それまでのLOOKの走りを一新するヒット作となった。今回試乗したのは、08年に585シリーズに追加された585オプティマムという派生モデル。通常の585に比べ、トップチューブを10mm程度短縮すると共にヘッドチューブを10mmほど延長し、アップライトなポジションを取りやすいジオメトリとしたフレームである。



「最適条件 (Optimum)」 という名前を持つこのバイクで、数々の峠を含んだ300km以上を走り回った。前回試乗したLOOKの最新モデル、586との比較を通してその存在意義を問いたいと思う。







スペック







血中レーシング濃度、今なお極めて高し







さて、いよいよLOOK 585だ。デビューからすでに5年を経ようとしているこの息の長いモデルのXSサイズを、「読者からのリクエストが多いもので」 という嘘までついて代理店から拝借した本当の理由は、ヒルクライムレースで何度も後姿を拝まされたこのバイクに対する、僕の単なる個人的興味による。メーカーの販売促進のために書いている気はさらさらないし、どちらかといえばその逆でありたいと常々願っているのだけれど、この2009年に585のインプレッションを掲載してみたところで、自転車メディアとしてはいまさら感があることは確かだ (586をたっぷりと味わった今、最も乗るべきLOOKは595シリーズなのだろうが、残念ながら試乗車のサイズがない)。




しかし編集部に届いた585を自宅まで乗って帰る途中、真夜中のビルの谷間で僕は、「これこそがレーシングロードバイクだ!」 と快哉を叫びたくなった。たとえそれが、新世界への扉を叩いた586に比べれば旧来的で、近代化以前の既存の方法論から生まれたバイクだったとしても。たとえそれが、僕の妄想ではなく、真実だったとしても。







快適性、586の勝ち。振動の収束スピードも圧倒的に586。巡航性はわずかの差で586だが、直進性、低速時のマナー、比べものにならない。バランスでは586に遠く及ばない。トータルの洗練度、2車は全く勝負にならない。隔世の感あり。 もちろんそこはカーボンフレームの雄と言われるLOOKの現役モデルであるから絶対的な評価は決して低いものではないし、振動収束スピードに文句をつけたところで、路面からある衝撃を受けたときの振動が一定以下に収まるまでの時間が586は0.10秒、585は0.15秒といったそういうレベルの話なのだろうが、それでも人間の鋭敏な感覚を欺くことはできないらしく、歴然とした違いを感じ取ることができる。だから2車の完成度には大きな隔たりがある、と思わせる。




それでも585の魅力は全くもって陰らない。むしろ直前まで乗っていた586の印象が薄くなるほど、585の走りは強烈な印象を僕の身体に深々と刻み込んだ。実際、今まで乗ってきた腑抜けたバイクの印象なんてどこかへ吹き飛んで消えてしまった。じつに走り応えがあった。そのフレームはギチギチに締めあげられていた。これ以上純度の高いレーシングバイクにはそうそうお目にかかれない、というレベルで。ひょっとすると586の登場によって585は輝きを増したのかもしれない、と思わせたほど。




「既存の方法論」 といっても、この585は 「既存のものの中では最高レベル」 の技術を用いたバイクであることは間違いがない。なぜならそれは、ロードバイク界随一といってもいいほどのタイトで硬質なペダリングフィールを持っているからで、走り出せば本当に身体が軽い!かったるいバイクから乗り換えればまるで足枷を外された気分だ。 しかし、トップチューブに記される 「optimum comfort geometry」 との表記と実際の乗り味との間にはギャップを感じた。世間でもなぜか快適系のフレームだと言われているらしいこの585オプティマムだが、僕にはとうてい快適なバイクだとは思えなかったのだ。フレーム全体はカキンと硬く、中途半端な脚は受け付けない (サイズも影響しているか)。




ハンガー部分は、個人的には不快になる直前の硬さにまで固められている。ヘッドチューブが多少長くなったからといってコンフォートバイクだと決め付けるのは乱暴すぎるだろう。乗ることは誰にだってできるが、乗りこなせている人は少ないのではないか。サイクリングやロングライドが目的なら、もっとユルいバイクに買い換えた方が幸せになれる。見た目はパステルカラーなんか使ってちょっとガーリーなelleカラーの585だが、脱いだら筋骨隆々の硬派だった。油断できない。



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