世界1億DLのスポーツログアプリ「ランタスティック」、勝利のカギは「常に最先端」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

世界1億DLのスポーツログアプリ「ランタスティック」、勝利のカギは「常に最先端」

オピニオン ボイス
Runtastic社のフローリアン・グシュヴァントナーCEO
Runtastic社のフローリアン・グシュヴァントナーCEO 全 8 枚 拡大写真
フィットネスアプリのベンダーRuntastic社とNTTドコモが共同開発した「Runtastic for docomo」がサービスを開始。

今回、Runtastic社のフローリアン・グシュヴァントナーCEO、共同創設者のクリスティアン・カールCTOがサービス開始に合わせて来日、ドコモとのコラボレーションの経緯、将来へのビジョンなどを話した。

Runtastic社は、2009年10月にフローリアン氏を含めた4人の若者によりオーストリアで設立。創業当初は、GPS位置情報を利用してランニングをはじめとするスポーツ一般の走行距離やタイム、ペースなどを算出するアプリ「Runtastic」と、計測結果を保存するウェブサービス「Runtastic.com」から出発している。

まずはじめに、Runtastic社の成り立ちから聞いていった。先行者としてトップスピードで走り続ける気概と、高速で変化し続ける意思がにじみ出ていた。



---:Runtastic社の概要を教えてください。

フローリアンCEO(以下敬称略):会社の設立は5年前です。当初はランニングを対象にしたアプリのみの展開でしたが、その後、いろいろなスポーツにもニーズがあるということが解り、サイクリストを対象としたロードバイクやマウンテンバイク向けのアプリ、腕立て伏せやスクワットなどのフィットネス系のアプリなど、横の展開も図ってきました。現在では、ハードウェアも自社開発するようになり、オンラインとオフラインどちらにも対応したサービスを提供しています。

アプリは1億ダウンロードを突破し、4500万人の登録ユーザーを抱えています。我々はグローバル展開をしていますが、その中でも日本市場は重要な位置付けで、特に東京に関しては、グローバルでみても3番目にランタスティック人口の密度が濃い都市となっています。

---:今回、ドコモとコラボレーションした新サービス「Runtastic for docomo」の特徴は。

フローリアン:サービスの内容としては、ランニング、ロードバイクのアプリに加えて、腕立て伏せ、スクワットなどフィットネス系アプリ、6つのアプリが使えます。また、ウェブサイトで展開していたメンバーシップ機能、例えば、友達に声援を送ったり、自分と友達の記録を比較する機能、自分のパフォーマンスをより細かく分析する機能なども使えます。トレーニングプランについても、自分にあったプランを使い放題でご利用いただけるようになっています。

(ドコモが提供する「Runtastic for docomo」は、Runtastic社のトレーニング支援アプリ6種類を月額350円(税抜)で利用できるサービス。オリジナルの機能としてトレーニング量に応じたドコモポイントを獲得できるなど、トレーニングを継続するための工夫もされている。)



---:日本市場の中で、ドコモをパートナーに選んだ理由については。

フローリアン:ドコモをパートナーとして選んだのは、プロバイダーの中でもリーダー的存在で、認知度も高く、オーストリアでも知られる存在であることでした。今回、ドコモ側からのアプローチがあり、その時の対応が早かったことや、スタッフとミーティングした時の感触など、プロフェッショナルな印象も持ちましたね。通常、Runtastic社としては、第三者とのコラボレーションはリスクに注意するのですが、このプロジェクトの実現ができるなら是非早く進めたいということで、今回の取り組みにつながっています。

---:新サービスに関して、今後ユーザーの拡大に必要なことは何だと考えていますか。

フローリアン:まずは、このようなサービスが提供されているという認知を図ることが重要ですね。今後、Runtastic for docomoにおいても、我々が世界的に展開しているアプリのサービスと同時並行して新機能も搭載していきますし、hitoe技術を使ったウェアの登場など新たな付加価値の部分を訴求することで、Runtasticとドコモが相互にユーザーベースを拡大していくことにつながると考えています。

---:ドコモとのパートナーシップはどのような進化をたどるのでしょうか。

フローリアンCEO:今の時点ではサービスがスタートしたばかりなので、お互いに期待感を持ちつつ今後の展開を考えていく段階です。一番大切なのはユーザーの満足度の充実に向けてどういった取り組みができるのかという部分で、例えば、我々がヨーロッパで提供しているハードウェアをドコモショップで販売することが妥当なおか、あるいはアプリの追加が満足度につながるのか、いろいろ検討を重ねて内容を充実させていきたいです。

---:ハードウェアの共同開発なども視野に入っているのでしょうか。

フローリアン:今のところは、アプリサービスが開始されたばかりなので、そちらの方に主な開発資源を注力していく考えです。ただ、今後の可能性としては、最新の技術や他のものも含めて、コラボレーションを密にする中で新しいサービスを作り出していきたいという方向で考えています。




◆アプリは1億ダウンロードを突破、登録ユーザーは4500万人を抱えるRuntastic社

現在、Runtastic社では19種類のアプリとサイト上での有料サービス、ウェアラブル端末「Orbit(日本未発売)」などアクセサリの販売を行い、現時点で20国籍にわたる100人以上の社員を有する企業へと成長している。続けて、その成功の秘訣を聞いた。

---:開発したアプリが1億ダウンロードを突破したとのことですが、成功の要因を教えてください。

フローリアン:まず、国際展開で強みがあることが挙げられます。他のアプリと比べて、弊社では翻訳の作業に重きを置いています。アプリを提供する際に様々な言語を用意し、日本、中国、ロシア、ブラジルなどの市場にもすぐに対応してきました。なおかつ、プロダクトの設計をするプロダクトマネージャー自身がスポーツの愛好家であるため、アプリに加えるべき機能を実感としてわかっているので、そこを組み入れる作業もスムーズに行なっています。

また、マルチアプリ戦略で様々なアプリを横展開して、技術的な部分でもGoogleやアップルのようなプラットフォーム事業者とシステム系チームの連携も密に行なっていますので、Bluetoothを使ったスマートデバイスの開発やプラットフォームのデザインが変更される場合にも、その前の段階から、こちらの方で準備する環境があり、一番新しい技術に対応したデザインをすぐに提供できます。



つまりアプリとハードウェアとの連携、ドコモのようなメジャーブランドとのパートナーシップを組める技術力があるところに、我々の強みがあると思いますね。

---:なぜ世界のユーザーがら支持され、アプリをダウンロードしてもらえるのでしょうか。秘訣みたいなものはありますか。

フローリアン:当社は約20ヶ国語に対応できるスタッフで構成されています。ただアプリを各国に向けに翻訳するだけでなく、それぞれの文化的な背景も把握し、アプリを提供できているため、各国言語/文化に根付いた使いやすさに結びついているのだと思います。

---:グローバル展開はスタート時から想定していたのでしょうか?

フローリアンCEO:本社のあるオーストリアはドイツ語ですが、ドイツ、オーストリア、スイスの一部で使われるため、かなりリーチが限られています。そのため、当初から多言語化は想定していました。ただ、翻訳してくれる代理店などに依頼したことはなく、当時のランタスティックのアクティブユーザーにボランティアの形で、訳していただいていたという状況がありました。その後、社内でもインターンシップという形で、様々な国の人を取り入れて、翻訳の段階でただの訳ではなく、文化的な背景を含めた正しい多言語化を進めるよう心がけています。


◆SNSなどの口コミ評価が成長のエンジン

Runtasticのユーザーのうち、東京は世界で3番目に利用者の多い都市という。特別に広告を出すわけでもない。その普及の仕方をみると、土日にダウンロード数が上昇していることから、ランニング仲間の口コミなどで、利用者の拡大がなされていると同社では分析している。今後、得られたデータでアドバイスなどを行なうサービスにより”ロングアクティブライフ”を将来へのビジョンとして掲げる同社。ここからは、クリスティアンCTOにも話に加わってもらい、将来へのビジョンを話してもらった。

---:ユーザーから支持される理由、普及の起爆剤はありますか。

フローリアン:技術的なところで言うと、アップルやGoogleがリリースする新機能に対応することがとにかく早いことです。ランナーや他のスポーツをする方にもメリットのある機能を常に先取りして提供しています。また、早いことと合わせて、アプリの安定性も重要です。



クリスティアンCTO(以下敬称略):メジャーブランドであるナイキなどのアプリでは、ランニングのみのランナー向けアプリになっていますが、我々のアプリはスポーツ全体をサポートするエコシステムという位置付けなのです。ランナーがあり、バイカーもあり、フィットネスもあり、それを統合したプラットフォームができていて、総合的なサポートができているところが他のアプリとの差別化になっていると思います。

フローリアン:ゲームなどのアプリと違って、ランニングであれば「いいことをした」という思いが生まれて、”周りの人に報告したい”というサイクルの中で、ちょうど良いタイミングでFacebookなどのSNSが普及しました。アプリにおいてもソーシャル機能の画面が出てくるように設計したため、SNSを中心に口コミで広まったことが大きいと思います。このへんは、大変ラッキーだったということですね。

---:Runtastic社の将来のビジョンをお願いします。

フローリアン:我々Runtastic社としては、新しいアプリの開発はこれまで同様、来年も予定しています、それ以外にもハードウェアもいくつか新製品を出す予定です。アプリの中身としては、ランキングボードや人と人とをつなげるソーシャル性を強める機能などの追加も予定しています。



クリスティアン:2015年以降のビジョンとしては、”ロングアクティブライフ”をキーワードに、ただ長生きするだけでなく”アクティブ”に長く生きることをビジョンに掲げています。これまでは記録を取るだけのトラッキングアプリが多かったのですが、これからは取った記録からどのようなアドバイスをユーザーに与えられるか、といった部分を充実させて、例えば、得られたデータからトレーニングプランを作成することや、データに関してどんな解釈ができるか、といったエデュケイション機能を提供して、皆さんの生活をバックアップしていきたいです。

《》

≪関連記事≫
≫貴重な水着ショットも披露!「もはや高校生には見えない」大人っぽい池江璃花子、沖縄・石垣島の海を満喫

≫ケンブリッジ飛鳥と滝沢カレンが似てる?リオ五輪時から密かに話題だった

≫レアル所属・中井卓大ってどんな選手?…「リアルキャプテン翼」と呼ばれた少年時代

関連ニュース