藤光謙司、リオオリンピック陸上200mファイナリストへの挑戦…単独インタビュー 3ページ目 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

藤光謙司、リオオリンピック陸上200mファイナリストへの挑戦…単独インタビュー

スポーツ 選手
リオデジャネイロ五輪陸上短距離200mで日本代表に内定された藤光謙司(2016年7月12日)
リオデジャネイロ五輪陸上短距離200mで日本代表に内定された藤光謙司(2016年7月12日) 全 8 枚 拡大写真
---:短距離では最年長となる30歳での日本代表です。そのことについて、どう思われますか?

藤光:僕もこういう立場というか、こういう年齢になる自分が今まで想像できなかった。僕が一番最初にシニアの代表に入ったのが社会人1年目のベルリンの世界陸上。その時は先輩方がほとんどで、先輩の背中を追いながらの競技や日常生活でした。そういうイメージのまま、気が付いたら自分がそういう(先輩の)立場になっていた。

まだ気持ちが追いついてきていない部分もあるのですが、ある程度ようやく自分の実力だったり競技のパフォーマンス的にも自信がついてきて、気持ちも追いついてきて。自分の競技のことも大切ですけど、後輩たちがどういうモチベーションや環境、どういう風に競技を続けていけばいいのか、そういうことを考えていかないといけないと最近思うようになって。

自分が今まで積んできた経験をいかして、より良い環境で後輩たちには競技をしてもらいたいと思う。僕がシニアで最初に代表に入った時、個人でファイナル(進出)を目指す感じの雰囲気じゃなかった気がします。当時、僕が若かったというのもありますが、とりあえず代表になって自分の力を試して、なんとなく一本でも多く走れればいいなと、そういう雰囲気。

自分がそのレベルの選手だったというのももちろんあるんですけど、そういう感じだとファイナルを目指す気にならない。無理だと思ってしまう。(個人でファイナルに進出する)そういう姿を後輩に見せていかないと、ファイナルで戦うという気持ちになれない気がする。僕らが実際に現実でやってみせるのが一番なんですけど、みんながファイナル狙って戦う気持ちのチーム作りだとか雰囲気は環境として大事だと思う。

日本の短距離チームが全員ファイナルで戦うんだっていう、個人種目でちゃんと戦うんだっていう、リレーだけではなく個人で世界と戦う気持ちを持てる環境作りは、僕らのような(年齢や経験の)上の人間たちがやっていかないといけないことだと思う。そういう姿勢を少なからず見せて、後輩たちがしっかりそういう気持ちになってくれるようにしていければと思います。


日本代表内定後は壮行会などでパワーをもらった

---:藤光選手には200m以外にもリレー出場の期待がかかります。リレーのメンバーはいつ決まるのでしょう?

藤光:直前だと思います。正式に決まるのは現地で一番状態のいい選手、その時の最善のメンバーで組むというのが日本のリレーチームのやり方。個人の結果も見つつ、バトンの兼ね合いや状態を見て、最終的に判断するのが前日、前々日ぐらいになってくるのかな。それまでは正確にはわからないですね。

うまくリレーチームをまとめていけるような存在になれたらと思いますし、もちろん自分が走って、今はすごくいいメンバーがそろっているので、そのメンバーで走ったらどれぐらいのタイムが出るんだろうって周りは期待していますし、僕たちも楽しみにしている。そのなかでしっかり走って、メダルを狙いにいけたらと思います。

---:リオデジャネイロ五輪はこれまでの競技生活のハイライトのひとつになります。意気込みを聞かせてください。

藤光:オリンピック出場というのは自分の競技人生のなかでひとつの大きな目標で、今まで達成できなかったので、その想いがものすごく強いところはあります。オリンピックのファイナルで戦うことが一番の目標だったので、そのチャンスが今回巡ってきたのでしっかりそれをものにして、今日本の短距離は勢いがあるのでこの勢いをうまく使いながら、誰かがファイナルに行って勝負しないといけないなってタイミングだと思う。

それが自分であるようにしたいし、100mも9秒台、200mも19秒台と言われており、(日本陸上界で)その第一人者になりたい。去年は世界選手権のファイナルも目指していましたが、そこで経験できていたら今年違った形で迎えられたのかなと思う。そこで勝負したいという気持ちは変わらない。日本人が複数人残るような、もしかしたらそういうチャンスもあるのかなと思うので、巡ってきたチャンスはものにして。



今後の日本の陸上界、短距離界においてもものすごく大切なことだと思う。それを引っ張っていけるようにできたらなと思います。若者には負けないんだぞ、というのを見せられるように(笑)。

また、ベテランにも勇気を与えられるように、僕が頑張っていければと思う。まだまだ年齢とかにとらわれてほしくないし、僕はそういうプランニングで来ていますが、陸上の短距離界で言ったら朝原(宣治)さんは36歳までやられている。そういう事例があるので、まだまだできるんじゃないかと思います。朝原さんは100mだったので、僕は200mでそういう立場の人間として、後輩の選手たちにまだまだできるんだぞというのを見せていければ、希望を持ってもらえるのかなと思う。

僕もまだこれから伸びしろがあると思っているので、もっと記録も伸びると思っていますし、そういったところを見せていけたらと思いますね。

---:4年後には東京五輪も控えています。リオデジャネイロ五輪も通過点でしょうか。

藤光:できれば東京も見据えてやっていきたい。年々、体も若返ってきているようなところもある気がするので(笑)。一番最初に『東京で』と言われた時には現実味も湧かなくて、6年後とかそんな先のことわからない…みたいな状態でした。あと4年となってきて、自分の競技も安定して自信がついてきたというのもあって、ようやく目指していけるんじゃないかと思えてきた。このまま勢いづけて、東京までやれたらなと思いますけどね。

30歳って気持ち的には思っていない。まだまだ20代中盤ぐらいだって気持ち。まだトレーニングもやりきったという感じではないので、いっぱいやることも残っている。まだまだこれからだと思います。

●藤光謙司(ふじみつ けんじ)
1986年5月1日生まれ。埼玉県出身。ゼンリン陸上競技部所属。身長182cm、体重69kg。2015年7月に記録した200m20秒13は日本歴代3位。

協力(取材):ゼンリン陸上競技部
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《五味渕秀行》

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