
今週は秋のダート最強馬決定戦、第26回チャンピオンズC(GI、ダ1800m)が中京競馬場で行われる。
今年は、チャンピオンズC2年連続2着のウィルソンテソーロや、JpnI4勝メイショウハリオに、ジャパンダートクラシックを制したナルカミ、ペプチドナイル、ラムジェットとGI・JpnI馬が5頭参戦。さらには、みやこSを制したダブルハートボンドや、武蔵野Sを勝ったルクソールカフェ、前走初ダートの南部杯で2着したシックスペンスなど、ダートの新星も集まり好メンバーで争われる。
そんな中、3歳の新鋭ルクソールカフェが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■勝てない武蔵野S組に、鞍上は初めて日本で騎乗
古馬と初対戦となった前走武蔵野Sでは、好位から抜け出し、後続に3馬身半差の完勝で重賞初制覇を果たしたルクソールカフェ。春はケンタッキーダービーに果敢に挑戦し、12着に大敗したが、国内では大崩れしておらず、フェブラリーS連覇を果たした全兄カフェファラオの後を追うように、今後のダート界を担う逸材へと期待は大きい。
そんな兄カフェファラオは、チャンピオンズCとは相性が良くなかった。2020年は2番人気で6着、21年は4番人気11着と、人気を集めながら掲示板外に敗戦。全く同じ血統背景にあるルクソールカフェにも、同様に負の連鎖が生まれることも考えられ、決してプラス材料とは言えないだろう。
武蔵野Sからのステップも懸念材料。2014年にチャンピオンズCとして施行されて以降、前走武蔵野S組の成績は【0.2.0.26】で、勝ち馬は輩出しておらず、連対率わずか7.1%と極度の不振。優先出走権を与えられたステップレースとしては、信頼できる数字ではない。過去10年では、前走地方出走組が【9.7.3.42】と、好走馬の大半を占めており、中央出走からのステップは大きく割り引いて良さそうだ。
また、過去10年の勝ち馬延べ10頭中、主に芝を主戦場としていた2022年勝ち馬ジュンライトボルトを除く9頭は、前年以降にダートGI・JpnIを勝利していた経験を持っており、格が大きくモノをいう一戦。3歳ならばなおさらで、前々走ジャパンダートクラシックでは、勝ったナルカミから12馬身離されての3着。まだGI・JpnI実績の乏しいルクソールカフェにとっては、高い壁となりそうだ。
今回は短期免許で初来日となるフローレン・ジェルーとのコンビで臨むが、米国のトップジョッキーとはいえ、日本のレースにどこまで対応できるか微妙なところ。加えて、馬自身も中京は初。血統背景や臨戦過程、実績面などマイナスな要素は多く、人気ほどの信頼度はない。妙味を考慮すると、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。


