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【THE REAL】13年目の覚醒へ…元祖怪物・森本貴幸が新天地フロンターレで抱く期待感と危機感

オピニオン コラム
森本貴幸 参考画像(2012年12月16日)
森本貴幸 参考画像(2012年12月16日) 全 5 枚 拡大写真
■3年連続得点王・大久保嘉人の存在

期待とは「覚醒」に対してのこと。元日本代表の中村憲剛、U‐23日本代表で活躍中の大島僚太らのパサーを擁するフロンターレには、十二分な説得力をもつ前例がある。

大久保嘉人がヴィッセル神戸から加入したのは2013年。チーム事情から中盤を任されるなど、精彩を欠いていたストライカーはいきなり26ゴールをマーク。自身初のタイトルとなる得点王を獲得する。

フロンターレでの3年間で、出場97試合で実に67ゴール。驚異の得点率とともに、前人未到の3年連続得点王に輝いた理由を、大久保は中村と大島が君臨する中盤の創造力に帰結させている。

「ゴール前で自分が『よしっ、いまだ』と思ったとき、実際にボールが来た瞬間の『よっしゃぁ』とか『きたぁ』という感覚がわいてくるんですよ。このへんからね」

笑顔で「このへん」と指をさしたのはお腹の部分。国見高校やセレッソ大阪で生粋の点取り屋として活躍。ジーコ監督に率いられる日本代表にも招集された当時は、腹の底から常にこんな声が響いてきたという。


大久保嘉人

一転してヴィッセル時代は、チャンスの数そのものが少なかった。ゆえにゴールできなければ、自分自身のふがいなさに対して腹が立つ。イライラして本来の力を発揮できないシーズンも続いた。だからこそ、ゴールハンター役に集中できるフロンターレでの日々が楽しくて仕方ない。

「シュートの瞬間にいくつものイメージがわいてくるんです。そのなかから迷うことなく、ベストのプレーを即決する。たとえシュートを外しても、必ずいいパスがくるからすぐに気持ちを切り替えられる」

かつての自分を取り戻し、さらにスケールアップさせて「覚醒」した大久保と同じ軌跡が森本にも期待される。同時に、数々の最年少記録がもたらす呪縛から解き放たれるチャンスでもあると、前出の関係者は力を込める。

「ずっとそういう目(最年少記録保持者)で見られてきた部分はありますけど、普通にプレーすれば能力は高いわけですからね。ヨーロッパで長くプレーしてきたことで、相手と戦う、あるいはハングリーさといった部分はもちあわせている。もう一度しっかりと体を作って、いい準備をして上手くチームに合わせていって、チームもまた彼のよさを引き出せていければ。ウチで試合に出て、結果を出していけばそういう(日本代表復帰の)チャンスも絶対に生まれてくると期待しています」

鮮やかなV字回復を遂げ、歴史に名前を刻んだ大久保の背中を、森本自身も期待を込めて見つめている。

「3年連続得点王になるまでどのような練習をしているのか、どのような生活をしているのか。そういうのを毎日見ることができる。学ぶ部分はすごく多いと思うし、いいお手本として見ていきたい。パスを出せる選手が大勢いる、ゴールチャンスはたくさん訪れると思う。いかにボールを引き出して、シュートまでもっていく形を作れるか。自分はこういう選手なんだよ、というのを表現しながらやっていきたい」

■すべてはこれから

悲願の初タイトル獲得を期待され続けながら、フロンターレは昨シーズンも無冠に終わった。たとえば、6位に甘んじたリーグ戦。23ゴールの大久保に続くのは8ゴールのDFエウシーニョであり、大久保が厳しくマークされれば自慢の攻撃力が手詰まりになる試合もあった。


森本貴幸

指揮を執って5シーズン目となる風間八宏監督は、得点力を含めた森本のポテンシャルに期待を込めながら、だからといって特別扱いはしないと従来の方針を貫くと明言している。

「すべてはこれから。チームのなかに入ってみて、どのようなものがあるか。ウチの場合はトレーニングをすれば選手はどんどん伸びていくし、トレーニングをしなければどんどん差が開いていくので」

独特のトレーニング理論に絶対の自信をもつ風間監督ならではの言葉。森本は昨シーズンまでの反省と来たる新シーズンへの覚悟を胸中に秘めながら、19日からフロンターレでの第一歩を踏み出している。

「まずはケガをすることなく、1年間グラウンドに立ち続けることを絶対条件にする。去年あまり点を取れなかった分、今年は本当にやってやるという思いがあるので」

5月には28歳となる。最年少記録を立て続けに樹立してから、干支がひと回りした。自らの立ち位置は怪童から中堅にさしかかり、ベテランと呼ばれる域も目の前に迫ってきている。

ストライカーの象徴となる背番号「9」を託された、フロンターレで納得のいく結果を残すことで、森本貴幸という点取り屋像を確立させたい。11年ぶりに挑むJ1の舞台で抱く期待感と危機感が、「本当にやってやる」という言葉に凝縮されていた。
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《藤江直人》

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