スペシャライズド、「世界一」を手に入れたマシン vol.1 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

スペシャライズド、「世界一」を手に入れたマシン vol.1

オピニオン インプレ

安井行生のロードバイク徹底インプレッション
安井行生プロフィール

2007年ロード世界選手権制覇! 「世界一」の称号を手に入れたレーシングマシン
パオロ・ベッティーニによって2007年のロード世界選手権を制覇し、文字通り世界最高のロードバイクとなったS-WORKS ターマックSL2。スペシャライズド史上最も高い剛性と軽量性を持つというピュアレースバイクを、300kmに渡って徹底試乗!
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
「もっと剛性のあるバイクを作ってくれ」— 最強スプリンター、トム・ボーネンから出されたこの要求に対し、カリフォルニア州のエンジニア達は最高の仕事で応え、スペシャライズド史上最も高性能なバイク、S-WORKS ターマックSL2を造り上げた。そのボーネンを初め、パオロ・ベッティーニ、ダビデ・レベッリンといった世界有数のプロライダーが開発に加わったこのバイクは、2007年のロード世界選手権を制するなど、すでに世界中のトップレースで目覚ましい活躍を見せている。先日行われた激坂と石畳で知られる苛酷なレース、ツール・デ・フランドルでも、クイックステップチームのステイン・デヴォルデルが優勝を果たし、このバイクの性能と耐久性を証明した。ちなみにその一週間後に行われたパリ〜ルーベでは、ルーベSLのプロトタイプを駆ったトム・ボーネンが優勝を飾っている。春のクラシックからスペシャライズド勢大暴れである。
さて、先代のSLとこのSL2を比べてみると、トップチューブの湾曲やヘッド・ダウンチューブの太さ、フォークの形状など、素材だけでなく構造としても全く違うことが分かる。チェーンステーは倍ほども太くなっている。
極太のヘッドチューブとフォークによってハンドリング剛性を確保し、扁平されたトップチューブと細いシートステーで快適性を演出する。ロードバイクの命であるトラクションは太いダウンチューブと内蔵式BB、チェーンステーで得る。そんな近代ロードバイクのトレンドを盛り込んだS-WORKS ターマックSL2。しかし 「汎用性がなくなることや強度確保の難しさなどのデメリットを上回るメリットを見出すことが出来ない」 と、インテグラルシートピラーは採用していない。
また、シートチューブの設計自由度が制限されるとの理由で、スペシャライズドのエンジニアはバンド式のフロントディレイラーを嫌ったようだ。せっかくインテグレーテッドBBによってハンガー幅を広げたのだ。それを活かしてシートチューブは太く、角断面となってハンガー部分の応力を担っている。
ヘッドの下ワンも大口径となっているが、ただ1.5インチに拡大したわけではない。ベアリング位置をヘッドチューブ下辺から12mm上に移動させることで、ベアリング位置とダウンチューブ接合部の場所を一致させ、最大限の強度を確保し、大口径化の意味を余すことなく引き出している。

スペック

剛性感とトラクションのかかりは超級! レースで実証されたトップレベルの動力性能

なんとも凄まじい迫力を放つバイクだ。直線的で端整な美しさなどはどこにも感じられない。不気味な凄味だけがある。様々な機能を無理矢理くっ付けたかのような姿は、異様でゴシック的だ。トップチューブは 「ロードレーサーの上パイプは水平の直線にて構成されねばならぬ」 と頑なな主張を続ける堅物マニアの神経を逆撫でするかのような位置でひん曲がっている。各チューブ径の極端な差は、アンバランスな印象を見る者に与えるかもしれない。フレーム表面はユニディレクショナルカーボンの不規則なパターンに艶消しブラックフィニッシュ。ロヴァールのカーボンクリンチャーホイールのスポークは4分の1だけ赤くペイントされ、これは見るからに普通のバイクじゃない。こんなフレームにスラム・レッドがアッセンブルされていると、ダブルタップレバー先端の赤が、僕に操縦桿の機銃発射ボタンを連想させる。

走り出せば、剛性感の塊。トラクションの塊だ。踏み出した瞬間から過激な性能に圧倒される。加速感が半端ではない。38万円ほどもするカーボンホイールのおかげもあるのだろうが、僕が今まで乗ったロードバイクの中でも最高の運動性能を持つ一台である。わざとトルクをかけてみてもフレームはほとんどたわまない (僕の体重や脚力では、全くたわまない、と言い切ってしまってもいいほど硬い)。ここまで剛性があるバイクは、踏み出しや高ケイデンスのヒルクライムでどっしりとしてしまうことがあるのだが、このSL2はどんなシーンでもパリッとした軽快感があり、いつでも弾かれたような加速を始める。
レース用機材としては文句なし。究極の一台。これこそが本物のレーシングロードバイクと言える。それもそのはず、これは世界最大級の脚力を持つスプリンターや、レインボージャージを纏ったワールドno.1ライダーのためのバイクなのだ。

《編集部》

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