
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マドンシリーズだけでなく、アルミ系ロードもフルモデルチェンジさせたトレック。フラッグシップモデルのマドン6.9と同時に、アルミ・カーボンバックフレームの入門機、2.1も借りてみた。奥多摩方面の山岳で二日間・計300kmを走ってその実力を徹底レポート!
(text:安井行生 photo:山本健一)
OCLVカーボンばかりが脚光を浴びるTREKだが、フルアルミフレームの1400やアルミ・カーボンバックの2300の評価も非常に高く、他メーカーのトップモデルよりよく走るとまで言われていた。そんなアルミ系TREKも、マドンシリーズと同時にフルモデルチェンジを遂げている。
この2.1は、トレック独自のAlphaアルミニウムをメインフレーム素材に使用し、TCTカーボンシートステーを装備したトレックの入門機。シマノ・ティアグラをメインコンポーネントとしており、ワンランク上のモデルとして、シマノ・105仕様の2.3もラインナップされる。
そのフレーム形状はなかなか興味深い。トップチューブとダウンチューブのヘッド側はかなり太くなっており、ヘッド周りの剛性を重視していることが分かる。対してトップチューブ後半〜カーボンシートステーは細く、構造として振動吸収性を獲得しようとしている意図が伺える。最近のカーボンフレームでもよく見られる手法である。その華奢なカーボンシートステーは、リアブレーキ剛性を上げるためか、ブレーキキャリパー取り付け部の下からアルミセクションとなっている。チェーンステーが意外に細いのは全体のバランスを考慮した結果なのだろう。完成車販売のみなのでホイールは替えず、ハンドルだけを交換して峠を含めた合計300kmでテストした。
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価格帯を考えれば、この2.1はかなり出来のいいスポーツバイクである。しっかりとしたアルミ・カーボンバックフレームらしくググンと加速し、実に骨太な、元気な走りを見せてくれるのだ。軽快さで勝負するタイプではなく、グイグイと押し出すようなスピードを持つ。
ヒルクライムでよく進んでくれることには少々ビックリさせられた。急斜面ではさすがにホイールの重量が出てしまい、スイッという軽快感には乏しい。しかしヘッド周りがしっかりしているからだろうか、前荷重でのダンシングで踏み込んでやると力強いトラクションがかかるのだ。振動の吸収性は一般的だが、減衰はやや苦手だろうか。振動がバタバタと尾をひいてしまうことがあったが、タイヤなどで解決できるかもしれない。
コーナリング性能も高い。ステアフィールは非常にナチュラルでコントローラブル。少々ハードなブレーキングやコーナリングを試してみても、バイクの姿勢は安定しており、高性能バイクと比べて劣っている部分は少ないと言える。
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そしてこのボントレガー製のサドルがいい。レース系ベテランサイクリストには少し柔らかすぎで幅が広いと感じられるかもしれないが、フィジーク・アリオネに似たラグジーで適度にソフトな乗り心地は、しかしロードバイクらしくしっかりとスポーティーでもある。僕は二日間・合計16時間をこのサドルの上で過ごしたが、慣れないサドルにしては珍しく、痛くなることはまったくなかった。
ビギナー向けだからといって、過剰に安楽にしていないところが美点なのだ。穴をボコボコ開けてみたりゲルをブヨブヨに注入した過保護なサドルだと、間違ったポジションでもある程度は乗れてしまう。かといってハードすぎるとビギナーにとっては苦痛でしかない。このサドルはそこのバランスに優れている。初めてロードバイクを購入するビギナーにこそ正しいポジションを教えてくれるようなサドルが必要なのだ。そういった意味で、このボントレガー・レースベーシックというサドルは、この2.1にはベストだ。見た目もスマートでロードバイクらしい。適当なサドルで誤魔化さないところは、さすがTREKである。
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