伝統ブランドが生んだ新世代 コルナゴ CX-1 vol.1 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

伝統ブランドが生んだ新世代 コルナゴ CX-1 vol.1

オピニオン インプレ
安井行生のロードバイク徹底インプレッション
安井行生プロフィール

伝統のブランドが生んだニュージェネレーション
コルナゴのラインナップ中、最も高性能なスーパー・バイクのうちの1台、そのあまりの華やかさ故にダンボールから出した瞬間思わず絶句!の向日葵CX-1。「EPSショック」 直後という不利な状況をこの幸せの黄色い自転車は跳ね返せるか?伝統を脱ぎ捨てたコルナゴは果たしてコルナゴらしく走るのか?安井が創立55年を迎えるロードバイク最重要ブランドのトップレンジを論じる。
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
2008年末にコルナゴ・エボリューションシリーズの第一弾として発表され、コルナゴが長年拒否し続けてきたインテグラルヘッドをブランド史上初めて採用したことで話題を呼んだモデルであるCX-1は、ランク的にはクリスタロの後継機となるレーシングフレームである。40万円弱のプライスタグを掲げるこれは、ターマックSL3、585、スーパーシックス、FP6、G5、TIMEのRXインスティンクトなどをライバルとする、トップ〜ミドルグレードが混在する激戦区に存在する。
コルナゴ伝統のカーボンラグ構造ではなく、前三角がモノコック、それにシートステーとチェーンステーが接着される3ピース構造を採用するCX-1。そのトップ・ダウン・シートチューブは全てかなり太い六角断面。チェーンステーも極太の角型、シートステーはBステーのような形状ながら緩い弧を描いており、これも角断面でかなりのボリュームを持ったものとなっている。
2009年モデルとして発表されたモデルだが、2010シーズンもカラーリングを一新しつつ継続ラインナップ。2009年モデルは製造から塗装まで台湾で行っていたが、2010年モデルのCX-1は塗装をイタリアで行う。それに伴い、クリスタロでラインナップされていた 「ひまわり」 カラーやエアブラシを使ってのコルナゴらしい濃厚なカラーリングが復活した。

スペック

コルナゴの新世代はこの新時代に通用するか?
ついにトラックのハンドルを装備…?
「インテグラルヘッドシステムなぞレーシングカーにトラックのハンドルを付けるようなものだ。ロードバイクにそんなものは必要ない」
エルネスト・コルナゴの有名すぎるこの台詞は、いまやコルナゴの関係者にとって触れられたくない事実の一つであり、コルナゴファンにとっては忘れ去ってしまいたい歴史の一つだろう。イタリアのトレンドメーカー、ピナレロが90年代後半に登場させたインテグラルヘッドを、トップブランドとしては唯一、コルナゴは今の今まで採用しなかった。フレームやフォーク・ハンドル・ステム・ホイールなどとの剛性バランスを重視していた、というのが彼らの言い分だが、ライバル (=ピナレロ) に対する意地という理由もあったに違いない。しかし、かのエンツォ・フェラーリだってミッドシップ・レイアウトをなかなか認めず、「馬が後ろにいる馬車などあるものか」 などと言っていたというのだから、そのうちに微笑ましいエピソードとして記憶されることになるのだろう。
とはいえ、頑なに拒否し続けていたインテグラルシステムをこのCX-1で採用したからといって、コルナゴばかりを笑うわけには、もちろんいかない。ビアンキやキャノンデールだってアルミを捨てカーボンに移行しているし、ピナレロにとってアルミ/カーボンバックなどもはや過去のもの、ホリゾンタル&ノーマルヘッドにあれほど固執していたトレックもあっさりとスローピング&インテグラルヘッドを採用した。クロモリのイメージが未だ濃いデ・ローザだって、スチールフレームを望むファンの声に応えているにすぎず、エンジニアの心が新素材に奪われているのは明らかで、「鉄はもうたくさんだ!」 というのが彼らの本音だろう。

もちろんこれらはレーシングブランドとして当然のあり方だ。ロードバイクは工芸品にあらず。時代が変われば技術レベルもガラリと変わる。理想は常に変化していなければ理想ではない。エンジニアは自らのドグマ (ピナレロのあれではなく) を貫き、ファンの期待に唾を吐きかけ、伝統をぶん殴り、互換性を踏み付けながら進化を続けるべきである。愚直なほどのやり方で 「モア・パワー」 へと邁進し続けるべきである。
自らの路線を頑なに守り続けるのはライトスピードを筆頭とするチタン専門メーカーや、ベテランライダーのノスタルジーを満たす老舗のクロモリ専業イタリアンメーカーなどごく一部のブランドだが、もはやそれらがトッププロレースで活躍するシーンを見るのは難しいだろう (だからといってそのブランドやそのバイクの存在意義が薄くなる訳ではないが)。ロット・アデコのロビー・マキュアンがライトスピードで勝ちまくっていた2002年シーズン、そんな (機材的側面から見れば) 長閑な時代はもう来ないかもしれない。
一見すると写真を加工して転写しただけのように思えるが、実はペイントマシンの6本のエアブラシがパイプ上を数千往復 (!) することで描かれるという、通常モデルより3万円ほど高価なカラーリング、「EGRS(ひまわり)」 についての個人的意見を述べることはやめておく。思わず吹き出す若いピスト乗り、冷ややかな嘲笑を与えるアメリカンバイクフリーク、眉間にシワを寄せるストイックなレーサーなど分かりやすく拒否反応を示す人がいると思えば、その美しさに溜息をつく自転車マニアや目がハートマークになるリッチなオジサマ、はたまた 「カワイー!」 と嬌声をあげる妙齢の女性等々濃厚なイタリアンの魅力にとろける人もいて、人それぞれのリアクションを見ている方としては面白い。人間の感性とはかように様々なのだが、通常のカラーリングもラインナップされているので購入を考えている方はご安心を。個人的にはACBWブラックが精悍で好きだ。
http://cyclestyle.net/impression/>>続きへ

《編集部》

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