【ウェアラブルテック14】水中でも使える「スウィマブル・デバイス」
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
それは、米HZO Inc.が独自開発した「ウォータブロック」と呼ばれる保護技術だ。同社は、腐食性の液体やガスから電子部品を守る国際特許を数多く申請している企業。通常の防水技術だと、装置内に水を侵入させないようにシーリングを施したりするのが一般的な手法だ。しかし、ウォータブロックの考えかたは全く違う。装置内に水が入ってもデバイスが壊れないようにするという思想がとても面白いのだ。
「メーカーと協力して、製造段階で重要な部品や電子回路へ薄膜コーティング(真空蒸着)を施しています。CVDプロセスによる重合作用により、部品表面に分子結合を起こさせ、数ミクロンの厚みでもピンホールのない保護膜をつくれます。そのため、たとえウェアラブル・デバイス内部に水が入っても、装置が壊れることなく、正常に稼動できるのです」(HZO Inc. VICE PRESIDENT,JAREN BECKSTROM 氏)。
蒸着プロセスは約4時間から5時間程度かかるらしいが、同社のチャンバーならば1回につきバッチプロセスで960個の処理が行える。そのためコーティング処理のスループットは高いそうだ。このように同社では、生産性の高い装置と周辺技術を導入し、デバイスに機能を追加することで、ウェアラブル・デバイスの新しい可能性を探っているところだ。
展示ブースのデモでは、iPhoneやGPSデバイス内部の部品に防水加工を施して水没試験を実施していた。これ以外にも、すでに多くのメーカー製品で実績があるようだ。まだ市場に出回っていない血糖値計測用のウェアラブル・デバイスや、リング状のNFCデバイスなどにも、この技術が使われているそうだ。
JAREN BECKSTROM 氏は「我々は、ウェアラブルという言葉のほかに、“スウィマブル”(swimable)という言葉もよく使っています。デザイン段階でウォータブロックを施せば、プールでも使えるデバイスの開発も不可能ではありません。それに向かって現在進めているところです」と自信をみせた。ウォータブロック技術によって、深い水中でも安心して利用できるウェアラブル・デバイスが実現する日は意外に近いかもしれない。
《井上猛雄》RBBTODAY
《編集部》
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