【山口和幸の茶輪記】ツール・ド・フランスの魅力はレースだけじゃない
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コラム

「フランス一周レース」とはいうものの、ツール・ド・フランスはひんぱんに海外を訪問するのだが、この年は一度もフランス国外に出ることなく、7つの世界遺産をめぐるフランス観光コースだった。レース取材の前後で、あるいは移動中に息を飲むような景観に立ち尽くしたことが3度。
まずは大会初日、ツール・ド・フランスが初めて訪れた地中海のコルシカ島。その最南端のボニファシオだ。続いて「天空の城ラピュタ」の舞台となったといわれるフランス中南部のコルドシュールシエル。そしてフランス北部、モンサンミッシェルの夜景だ。
ツール・ド・フランスに帯同するすべての関係者が目撃しているものではない。ボクはここ10年ほど、勝った負けたのレース詳報は後輩たちに任せることが多く、フランス文化や観光的な見地から大会そのものを報じるようにシフトしている。だからできるだけ多くの観光地を限られた時間内で目撃するように努めている。
こう考えるようになったのはインターネット普及によるレース情報の多様化だ。レースの一部始終をチェックしたいなら、日本のお茶の間にいてJ SPORTSを見ながらネットで情報入手しているのが正解なのである。それでは高額な取材費をかけて現地に行くメリットはあるのか?
こう問いただされたときに考えたことは、もう現地レポートや現場撮影だけではダメで、現地にいたからこそ入手できた付加価値を日本に送り続けなければ生き残っていけない。ボクにとってそれはフランスの文化を通して見たツール・ド・フランスの空気であったり、そのためには観光地に寄り道することも必要だと痛感している。
2013年にこれだけ素晴らしい大自然を目撃してしまうと、世界観さえ変わってしまった。ひとつ気づいたのは、「フランスだけじゃなくて、もしかしたら日本にだってまだ見ぬ景色があるはずだ」ということ。帰国してから初心者ながら登山にハマったのもそんな理由から。
2014年はどんな景色に遭遇できるのか、今から楽しみなのである。
《山口和幸》
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