【山口和幸の茶輪記】サッカーW杯C組最強のコロンビアは国を挙げてのお祭り騒ぎ
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6月1日に終幕した自転車ロードレースのジロ・デ・イタリアも、コロンビア選手の大活躍が際立ち、地元イタリア選手の存在がかすんで見えるほどだった。総合優勝はナイロ・キンタナ。総合2位にリゴベルト・ウラン。山岳賞はフリアン・アレドンド。新人賞もキンタナ。21区間のうちキンタナが2勝、ウラン1勝、アレドンド1勝というのは圧巻。
コロンビアでの人気スポーツNo1はもちろんサッカーだが、それに負けないくらい注目されているのが自転車だ。それ以外には野球、フアン・モントーヤを輩出したF1、ローラースケートも人気があるという。自転車ロードレースは欧州が舞台だが、20歳のキンタナがアマチュア版ツール・ド・フランスといわれるツール・ド・ラブニールで総合優勝したときでさえ、お昼のトップニュースで報じられたほど。
すべては1983年のツール・ド・フランスから始まった。当時はすでにプロチームしか出場できない形態だったが、その年は特例としてコロンビアナショナルチームのオープン参加が認められた。高地で鍛えられた彼らの心肺機能は非常に高く、翌1984年にはルッチョ・エレラが南米選手として初めてのステージ優勝を挙げた。
以来、コロンビアに爆発的なロードレース人気が到来した。古い自転車に花を満載して首都ボゴタまで売りに行っていたエレラは国民的英雄になった。現在では素質のある選手がヨーロッパのプロチームと契約し、母国を離れて欧州レースを転戦している。キンタナのように同じ言語のスペインチームに所属する例が多いようだ。
国としては日本と比べものにならないほど貧しいという。多くの難題があり、治安も悪い。1994年のワールドカップのときは、オウンゴールしてしまった代表キャプテンが、敗退・帰国後に射殺されるという事件が発生した。ジロ・デ・イタリア総合2位のウランも、マフィアの麻薬抗争に巻き込まれた父が銃弾の餌食に。ウランは少年時代からアルバイトをするなどで一家を養っていた過去があるという。
そんな渦中ではあれど、コロンビアはいま最高に盛り上がっている。キンタナによるコロンビア勢としてのジロ・デ・イタリア初制覇。そのニュースはコロンビア国民にビッグニュースとなって伝わり、国を挙げてのお祭り騒ぎに。その流れは確実にサッカーにも及ぶ。開幕まであと9日。日本対コロンビアは日本時間にして3週間後だ。
《山口和幸》
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