【ヴェロシティ14】読者だより「ベルを鳴らしながら歩道を走る自転車、アデレードでは見なかった」
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今回のVelo-cityでは、環境と人間に優しい自転車の環境づくりということがメインテーマになっていた。
日本に帰国した吉田さんは、帰国後、本誌に対してアデレードでの経験とこれからの二人乗り自転車に対して意見を寄せてくれたので以下に紹介する。
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◆自動車と自転車の共存
アデレードでの自転車走行空間に関して、日本に比べ遥かに整っていることに感心しました。自転車レーンや自転車専用の信号等の走行空間から、ヘルメットの着用や、ライトや反射板の設置等の自転車を利用する人の意識の高さは、日本にはまず見受けられないと感じました。
日本では土地が狭いせいなのか、どうしても自転車のことを考える前に、自動車のことを考えてしまうように、私は感じています。例えば自転車レーンを作るにしても、自転車レーンの設置後は自動車の走行スペースが狭くなるとか、公道を自転車が走っていると危ないだとか。その点アデレードでは、自動車は自動車、自転車は自転車と明確に区分されており、また両者の安全性に関しても自己管理が基本であることを知り、だからこそ公道における自動車と自転車の共存が成り立つのだなと感じました。
◆オーストラリアのルールの遵守
日本人が持つ、ルールに書かれていないことに関しての、思いやりの気持ちがある行動(日本の「おもてなし」など)は素晴らしいことだと思います。しかし街中では、定められたルールを遵守しない人やマナーが悪い人が多いように感じます。自転車交通においてはまさにこれです。
自転車で平気に公道を逆走しますし、放置自転車は多いですし、歩行者がたくさんいる歩道を、ベルを鳴らしながら走行しています。アデレードではそういったことを一切見ませんでした。オーストラリア人は決まったルールを遵守し、その中でいかに自転車を活用するか、楽しむかを考えながら日々生活をしているかのように見えました。
◆交通弱者の観点から
少しの間アデレードに滞在している中で、ある疑問が浮かびました。私のプレゼンはタンデム自転車に関する内容でしたが、その前に交通弱者に関する内容でもあります。今回の国際会議では、このような交通弱者に関する発表を私は見なかったのですが、そういった発表はありましたでしょうか。
自転車が大好きな人が集まる国際会議だと言うのは分かってはいます。しかしどの国においても、障碍者のような交通弱者は必ずいます。歩行者・自転車・自動車の共存も大切ですが、晴眼者と障碍者の共存も大切なのではないかと思います。特に日本では、今後少子高齢化が進行し、ユニバーサルデザインを軸とした整備を行っていく必要があると思うので、こういった観点からの自転車走行空間の創造もあっては良いのではないかと思いました。その中の一部として、タンデム自転車も視覚障碍者と共に公道走行が出来るようになれば嬉しいです。
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日本でもオーストラリアでも、世界共通で考えていかなければならない、高齢化や、誰もが安心して利用できる共有場所を考えていくことも、今後の課題になる必要があるのかもしれない。
《豪州フォトグラファー さくら麻美》
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