【飯島美和のケ・セラ・セラ】ツール・ド・フランスに選ばれると信じて待つしかない
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ツール・ド・フランス出場メンバーの発表を待つ選手たちを間近で見て、いろいろな思いを感じてきた。チームからの発表があるまではまさに合格を待つ気分だ。
これまで4度のツール・ド・フランス完走を果たしている新城は言う。「自分は選ばれると信じて待つしかない。でも、絶対という確信は誰にもないんだ」
チームの地元開幕となった2011年、「全員フランス人選手で」というチームのスポンサーの意向から、開幕4日前にメンバー落ちした苦い経験が彼にはある。ツール期間中の1カ月間、彼はフランスに戻ってこなかった。その舞台に立てていないのに、地元が盛り上がっているのを見るのは嫌だったのだろう。
その年のツールに同行した私は、チームのオフィスでARASHIROという名前の入ったツールバージョンのウエアやスニーカーなどがすべて用意されていたものを見ながら、本来ならば走れていたのではないかという思いにかられ、彼がどれだけ悔しかったか、改めて感じたのを今でも覚えている。
ツール・・ドフランスに出場するのはワールドツアーライセンスを持っている18チームに加え、主催者推薦枠4チームの全22チーム。1チーム9選手がツール・ド・フランスを走ることができる。プロチームには23~30人の選手が所属しているが、その中の9人に選ばれるかは選手の人生も変える、と言われている一大事だ。
特にフランス選手にとってツール・ド・フランスを走るということは、一躍地元のヒーローとなり、家族はもちろん親戚中が応援に来る。日本的に言えば、まさに故郷に錦を飾るというような名誉なことなのだ。
だから、もちろんその9人のメンバーに選ばれるためには必死。レースで成績を出し、チームのために働き、いい走りを監督陣にアピールしたり、選手によってはチームとの契約内容の中でツール・ド・フランス出場を第一条件とし、年俸の面では妥協するという選手さえいる。
こうして選ばれて一度でもツールを走ると、他のどのレースにも類をみない規格違いの規模の大きさの中で走る喜び、完走した達成感の虜となって、「また、この舞台で走りたい。ここで活躍したい」と思うのだとか。
フランスを代表するある選手は言う。「3週間ですべてを出し切って走り、空っぽになって、次のレースのことなんてなにも考えられないはずなのに、またツールを走りたくなる。ツールを走りたくない選手はいない」と。
選ばれるかどうか、そう考えられるのは、ツールに出る可能性のある選手ということなのだから、この時期、このドキドキを味わえる選手で居続けるのもすごいことなのかもしれない。2014年ももうすぐフランスの自転車祭りが始まる。
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