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
ピナレロのミッドレンジを支えるカーボンバイク、FP5。昨年の人気モデル、F3:13のフレーム素材をグレードアップさせたニューモデルである。そのFP5でライター・安井が200km超を走り込む。自身も3台を乗り継いできた大のピナレロファンだというが、今回は私情を抜きにして辛口インプレッション!
(text:安井行生 photo:我妻英次郎/安井行生)
ピナレロのミドルグレードカーボンバイク 「F4:13」 の弟分としてデビューし、上位機種と同じルックスと乗りやすさ、手が届きやすい価格設定で人気モデルとなった 「F3:13」 の後継車がこの 「FP5」。素材となるカーボンはF3:13で使われていた24tから、F4:13と同等の30tハイモジュラスカーボンへとグレードアップしており、昨年同様F4:13と同じ金型を使用してフルモノコック構造で作られている。上位機種F4:13との違いはファイナルレイヤー (フレーム表層部分のカーボン) にある。F4:13は3Kカーボン、FP5は12Kカーボンをファイナルレイヤーに使用しており、フレーム本体に違いはないが表層のカーボンを変化させて剛性バランスに違いを持たせているという。前後フォークにはもはやピナレロのアイコンとなった感のある 「ONDAフォーク」 を装備。
販売形態は完成車のみで、シマノ・アルテグラSL仕様とカンパニョーロ・ヴェローチェ仕様が同一価格でラインナップされる。どちらの仕様もMOstカーボンコンパクトクランクを標準装備。アルテグラ仕様の試乗車にはシマノ・WH-RS10ホイールがアッセンブルされていたのだが、市販バージョンにはピナレロオリジナルMOstホイールが装備されることとなる。
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
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一日目。走り出してすぐ、そのフレーム内に、ロードバイクに求められる各性能のバランスのよさとピナレロらしい絶妙なハンドリングが潜んでいることが分かる。だが脚にくるアタリがベタッっとしていて軽快感がない。加速はいいレベル。登坂もそこそこ走る。しかし分厚い絨毯の上を走らされているようなモッサリ感がどうしても拭えない。
二日目。ホイールを10万円クラスの高剛性アルミリムタイプに変更して走ってみると、ゼロスタート、ヒルクライム、巡航性の全てにメリハリが出て、FP5は俄然レーシーなバイクへと生まれ変わった。特に中速域からの加速にはキレが加わり、かなり好印象。ペダルから伝わる反動にはカーボンらしいソフトさが残るものの、同時にしっかりとした “フレームの芯” を感じることができる。
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廉価ホイールの性能が、フレーム+フォークが持つ高いポテンシャルの足を引っ張っていたのだろう。FP5のフレーム性能を引き出そうとするならば、それに見合ったホイールを選択すべきである。(実際の市販モデルには、試乗車に付いていたWH-RS10より上のグレードであるピナレロオリジナルのアルミ製ミディアムプロファイルホイールがセットされる。バランスが改善されていることを期待したい)
ヒルクライムでもパリッとした硬さこそないものの、踏みしめるようにペダルを回すとフレームの中心部分が脚力を受け止めてくれる。トルクをかけるとしなり始めるハンガー部分は一定以上変形するとそこでたわみをピタリと止め、断面形状を複雑に変化させるチェーンステーと強固なONDAバックフォークを介して脚力はトラクションへと変換される。独特のフレーム形状と踏み味から湧き上がってくるのはそんなイメージだ。
しかし、FP5のキモはそのフォークにあった。
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