【アーカイブ】キャノンデールの技術が注ぎ込まれた1台 vol.2 安井行生の徹底インプレ 2008年モデル | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【アーカイブ】キャノンデールの技術が注ぎ込まれた1台 vol.2 安井行生の徹底インプレ 2008年モデル

オピニオン コラム
【アーカイブ】キャノンデールの技術が注ぎ込まれた1台 vol.2 安井行生の徹底インプレ 2008年モデル
【アーカイブ】キャノンデールの技術が注ぎ込まれた1台 vol.2 安井行生の徹底インプレ 2008年モデル 全 1 枚 拡大写真
脚力をしっかりと受け止める大口径BBが印象的 シッティングでのヒルクライムがスイートスポット







一瞬の溜めがあったあとトーンとスピードを上げる低速からの加速は、いかにも最新のカーボンフレームという感じがして気持ちがいい。しかしダンシングにクセを感じる。脚力を吸われるようなもどかしい感覚は全くないが、フロントセクションの剛性が高すぎてフォークが突っ張ってしまう感じか。このサイズに特有の問題 (トップチューブとダウンチューブがくっついてしまうほど小さいサイズなので、通常のサイズに比べてヘッド周りの剛性が過剰になっている) のかもしれない。リアセクションとハンドル周りのバランスがとれていない印象を受けるが、一度特徴をつかんでしまえば気にならなくなるだろう。







スピードを上げて乗り込んでいくにつれ、ネガティブな印象はだんだんと消えていく。登坂では5~7%の緩斜面がスイートスポットだ。ハンドルバーのフラット部分を握りながらケイデンス85くらいのシッティングで黙々と登る、そんなシーンではそれまでの不協和音が嘘のように美しい単音へと束ねられていくのを感じる。シッティングでは全く問題を感じない。スイスイと気持ちよく進んでくれる。



ヒルクライムでも、フロント荷重の踏み込むダンシングではやはりフォークが突っぱねてしまう。ピナレロのようにセルフセンタリング機能(?)がついていないので、意識的にタイヤを進行方向に修正してやる必要があるかもしれない。ハンガー~バックのしなり方は上質でBB周りはパワーをしっかりと受け止めるので、パワーポイントを見つけてペダリングのコツをつかめば高い戦闘力を見せるだろう。



ヒルクライム・平地を問わず、ダンシングでは、ブラケットを握って前荷重で乗るより、下ハンドルを持って腰を引き、重心を後ろにして走らせると素直に進むようになる印象を受けた。極細のシートステーから想像するほど振動吸収性は高くないが、フルカーボンらしいカドの丸さはあるので不快感はない。リアブレーキの制動力の立ち上がりは極細のシートステーから想像する通り、おとなしめである。フロントブレーキは高いフォーク剛性のおかげで指2本でジャックナイフできるほどガツンと効くので、最初はリアとフロントの制動力の差に違和感を覚えるかもしれない。







躊躇とも恐怖とも無縁 この圧倒的なダウンヒル性能は世界屈指!







スーパーシックスが最も光るのはコーナリングとダウンヒルである。下りは現在手に入れることのできるロードバイクの中でも最速の部類に入るだろう。凄まじく強固なヘッド周りのおかげか、恐怖を全く感じることなく、もの凄いスピードで連続した下りコーナーをクリアできる。ハンドリングもニュートラル。決して振動吸収性が良いわけではないのだが、比類なき安定感を持ったままハイスピードの横Gが快感と共にライダーを襲う。同様の理由でコーナリング性能も素晴らしい!の一言。なんの躊躇も恐怖もなく予想以上の速度でコーナーに入れてしまうので、いいタイヤを付けていないと危険なほどだ。



一つ気になったのが、この小さいサイズのバイクに信じられないような幅のハンドルが付属すること。サイズ50のバイクに乗る一体誰が、芯~芯44cmのような巨大なハンドルを使うというのだろう。せっかくFSAのカーボンハンドルバーがセットされるのに、これでは完成車で買うユーザーはハンドル交換が前提になってしまう。もったいないハナシだ。改善してほしいポイントである。







巷では乗りやすいオールラウンダーといわれて好評なようだが、僕が受けた印象は少し違う。癖があり、その車体を完全に我が物とするにはコツをつかみ、乗り手の好みをマッチさせることが必要だ。しかしそのスイートスポットにはまれば他のバイクにはない鋭い切れ味をみせてくれる。2007年ツール山岳賞獲得、プロツアーレース優勝などの事実がそれを証明している。



三角形が組み合わされたフレームにフォークを差し込み、サドルとドロップハンドルとホイールを付け、脚力をクランクで回転運動に変換しチェーンで駆動する。



そんな機能がむき出しになっているロードバイクの見た目なんて、どれも似たようなものである。だが一台一台のペダリングはそれぞれの個性に溢れ、サドルの上から見える世界はそれぞれに違う。そこから美しい景色が見られるか否かは、バイクと乗り手の相性によって決まることもある。



だからロードバイクは深い。



だからロードバイクという機材そのものがオモシロイのだ。



だからここまでシンプルな乗り物であるにも関わらず、僕らを延々と惹きつけてやまないのだ。



そんなことを再確認させてくれた一台である。





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