【山口和幸の茶輪記】ツール・ド・フランス中継を利用してパレスチナ旗が訴えたかったものは…
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フランスは日本よりもこの紛争地帯に近く、しかもユダヤやイスラムの存在は内政にも関わる関心事でもある。フランス人の4分の3はキリスト教の一派カトリックだとかつては言われていて、ユダヤ教やイスラム教への対応は少なからず厳しい。たとえば、フランスの学校におけるスカーフ禁止令は「国家における非宗教性」を掲げた締め付け政策か。もちろんユダヤ教のシンボルとなるものも禁止している。
7月中旬にイスラエル軍によるガザ地区の空爆、つまりパレスチナ人への攻撃が激しさを増すと、いよいよ勝負どころを迎えていたツール・ド・フランスで不思議な光景が見られるようになった。ツール・ド・フランスの沿道でパレスチナの旗が毎日のように打ち振られるシーンだ。しかもゴール前の定点カメラに大写しになるように彼らはベストポジションに陣取っていた。
パレスチナの窮状を世界中に知ってもらおうと、国際映像が世界190カ国に配信されるツール・ド・フランスを媒体として、国際社会に訴えようとしたのだ。もちろんパレスチナ人によるデモもフランス各地で行われるようになったが、国際イベントそのものを妨害するような行為が共感を得られるとは考えられず、彼らは沿道でパレスチナ旗を振ることで無言の訴えを発信し続けた。
2014年のツール・ド・フランスは以前の当コラムで紹介したように、第一次世界大戦から100年の節目を迎えた大会として、激戦地を歴訪しながら過去の過ちを悔い、スポーツが楽しめる平和な時代のありがたさを再確認するという目的があった。
ベルギーに入国した第5ステージのスタートには、ベルギー国王と同国が生んだ自転車史上最強の選手エディ・メルクスが第一次世界大戦の戦没者を追悼した。第6ステージはドイツ軍と激しい攻防を繰り広げたシュマンデダム戦場で、フランスのオランド大統領が献花した。こうした戦没者を慰霊する行事は、大会主催者ASOとフランス政府が共同して行ったものだという。
ボクも所属している国際スポーツプレス協会のパレスチナ人ジャーナリストが、イスラエル軍のガザ地区空爆で帰らぬ人になったのは8月2日。49歳。息子2人と娘のお父さん。元サッカー選手で、パレスチナテレビでサッカーを担当していたという。
《山口和幸》
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