【世の中】地質要因の高リスク地域、少ない雨量でも災害発生に注意 ウェザーニューズ
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結果、今回の広島市の土砂災害は、高知市の3分の1の積算雨量で発生したことが分かったという。土砂災害の被害規模には、積算雨量・雨量強度・地質など、複数の要因が関係する。
ウェザーニューズの週間予報では、週末に前線が接近し、広島で再び雨が降る可能性がある。広島に限らず、地域の地形や地質を把握するとともに、雨の強さにも気をつけ、土砂災害への注意が必要となる。
◆広島市・防府市・高知市の積算雨量の比較
広島市では8月19日夜から20日未明にかけて1時間に100mmを超える激しい雨が降り、市内の安佐南区、安佐北区では大規模な崖崩れや土石流が発生した。
広島市安佐北区三入東では19日夜以降、断続的に雨が降り、降りはじめから土砂災害が発生する20日未明の積算雨量が270mmを超えた。2009年に大規模な土砂災害が発生した山口県防府市でも、災害発生までに200mmを超える雨が観測された。一方、2014年の8月2日~4日に記録的な大雨となった高知県高知市の積算雨量は、広島市の土砂災害発生時の3倍以上だったにも関わらず、広島市のような大規模な土砂災害は発生しなかった。このことから、土砂災害の規模を左右する原因は必ずしも積算雨量だけではないことがわかる。
◆今回の土砂災害の気象的要因は1時間100mmレベルの短時間強雨
広島市で大規模な土砂災害が発生した場所では、過去にも積算雨量が200mmから250mmとなる雨を観測したことがあったが、その時は大規模な災害には至らなかった。今回、土砂災害が発生する直前の広島市安佐北区三入東の雨量を見ると、20日午前2~3時に90mm、午前3~4時に121mmの雨が降っており、土砂災害発生時には1時間に100mm前後の猛烈な雨が観測されていたことが分かる。
◆土砂災害の規模を左右する地質の違い
産業技術総合研究所地質調査総合センターが公開している地質データから、今回大きな被害があった広島県広島市や2009年に大規模な土砂災害が発生した山口県防府市では、薄いピンク色で表示される“後期白亜紀(K2)の花崗岩”の分布が目立つことが分かった。一方、高知市に広く分布しているのは、灰緑色で表示されている“ペルム紀(P)の付加コンプレックスの基質”や白色で表示されている“後期更新世-完新世(H)の海成、または非海成堆積岩類”であり、地域により地質が異なっていることが分かる。
さらに、広島市の航空写真を見ると、やや傾斜が急な扇状地が写っており、これは過去に繰り返し土砂災害が発生したことを示唆している。過去の事例では、1999年6月29日、活発な梅雨前線の影響で九州、中国、中部地方の広い範囲で大雨となった。広島県では集中豪雨により土石流などの土砂災害が発生し、県内だけで死者・行方不明者合わせて31人を数える甚大な災害になった。(6.29 豪雨災害)。この時、高知県では最大積算雨量341mmを観測し、福岡県では最大雨量強度100mm/時を観測。積算雨量、雨量強度ともに高知県・福岡県を下回る値の広島県で、大規模な土砂災害が発生したのは、地質が大きな原因だったと考えられる。
これらのことから、雨量強度や積算雨量だけでなく、地域による地質の違いも加味して土砂災害のリスク軽減を考える必要がある。
1時間の雨量が100mmに達するような強雨の際は、崩れやすい地質の地域では特に土砂災害のリスクが高くなる。土砂災害による被害を少なくするためには、暮らしている地域の地形や地質を把握するとともに、雨の強さにも十分注意する必要がある。
◆広島市は週末に再び雨、土砂災害・二次災害に警戒を
広島市では29日(金)~30日(土)にも雨が降る可能性がある。「土が腐った匂いがする」「沢や井戸の水が濁る」「異様な匂いがする」「川に流木が混ざる」「雨の日に川の水位が急激に下がる」なども土砂災害の前兆。すぐに斜面から離れ、できるだけ丈夫な建物の2階以上の安全な場所へ避難する必要がある。
《編集部》
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