【疋田智のバイシクル物語】“プチ故郷”を自転車で走ってみると | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【疋田智のバイシクル物語】“プチ故郷”を自転車で走ってみると

スポーツ まとめ
いまをときめく自転車ツーキニストがヤングだったころに住んでいたという東京の下町
いまをときめく自転車ツーキニストがヤングだったころに住んでいたという東京の下町 全 12 枚 拡大写真
“プチ故郷”つって、いま勝手に名付けてみたんだけど、たとえば、大学の教養時代2年間だけ住んでいたとこ、とか、ほんの3年程度、単身赴任でいたところ、とかね。

そういうところって、今となっては、よほどのことがないかぎり行かないでしょ? 本物の故郷と違って、特に用事もないし、それほど親しい人が住んでるというわけでもないしね。

そこをあえて自転車でめぐってみるわけだ。なぜかある日、思い立ってやってみた。

泣けるぞ、これは。

たった3年(たとえば)という限定的な期間、過ごした町には、駅前から色んなものが待ってるのだ。あ、改札前のこの風景。自転車を組み立てながら、駅前看板やら、古いパチンコ屋の佇まいなんかも胸に迫ってくる。もちろん新しく建ったものもある。でも、古いものは年月なりに古びて残ってるわけだ。ペダルを踏み出しても、道を脚が憶えている。

あのころ住んでたアパート、日曜の昼に必ずレバニラ炒め定食を食べてた中華料理屋(あ、まだ営業してる!)、履歴書を投函したポスト、角のレコード屋……。

自転車ってのは、徒歩ともクルマとも違って、なぜか「ここに引っ越してきた」という感覚をもたらす交通手段だと思う。特に小径フォールディングバイクとか、非ロードバイクの場合はそうだ。なんでだろ、適度にゆるいスピードがそう思わせるのかな。

でも、その“身近なスピード感”が「あの頃!」をありありと思い出させる。そうそう、おれはこんな週末を送っていたんだ、こんなことを考えてた、あんなことで悩んでいたんだ…。あの時と同じ風が頬を撫で、同じ曲がり角で同じパン屋の匂いがする。

そうだったよな、そうだよ、当時のおれ、大丈夫だぞ、そんなに世の中、悪いモノじゃなかったんだぞ。

当時の自分に語りかけたい気持ちになってくる。というか、当時の自分が通りからひょっこり現れそうな気分になってくる。自然にあの頃流行ってた歌が口をついて出てくる。

そうして、再び駅に着く。自転車をたたむ。なんだか色々な気分に背中を押されて、改札をくぐる。何だか不思議にリフレッシュした気分で再び日常に帰っていくわけだ。

《疋田智》

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