【山口和幸の茶輪記】ツール・ド・北海道もツール・ド・おきなわも地元じゃ「ツール・ド!」
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5月のジロ・デ・イタリア、7月のツール・ド・フランス、秋のブエルタ・ア・エスパーニャは「三大ツール」、あるいは「大きな一周」という意味のグランツールと呼ばれて成長していく。フランス語の「ツール」、イタリア語の「ジロ」、スペイン語の「ブエルタ」はどれも一周を意味する単語だ。
その中でもフランスはアルプスやピレネーという素晴らしい難所があった。時計回りにフランス一周すれば、アルプスが前半になり、ピレネーが後半の山場に。翌年に反対回りをすれば勝負どころは逆になる。さらに観光しやすい7月のバカンス時期に開催されることから、世界じゅうからファンが集まるようになり、フランス一周自転車レースは世界最高峰の自転車競技としての地位を確立する。
ということで、日本にもツール・ド・フランスという言葉はやってきて、ひろく一般に浸透するようになる。ジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャは「え、ナニ?」という感じだが、「ツール・ド・フランスなら聞いたことがある」という人も多いだろう。
そのため、地方でサイクリングイベントを開催する主催団体が、その認知度と良質なイメージからその土地の呼称の前に「ツール・ド」と付けてイベント名にする例がとても多い。北はツール・ド・北海道から南はツール・ド・おきなわまである。
ところが、たとえばツール・ド・浜頓別とかツール・ド・大台ヶ原とか、どんなに立派な大会名称を付けても地元の人はひとこと、「ツール・ド!」で片付けてしまう。ある意味で気恥ずかしさがあるのか、あるいは愛着心ゆえの略称か。だから日本全国に「ツール・ド!」と呼ばれる自転車イベントはゴマンとある。
かつて本物のツール・ド・フランスが地上波で放送されていたとき、そのテレビ局を訪問すると「あれ、山口さん。今日はなに? ああ、ツール・ド!」と顔見知りから声をかけられた。放映権を持っているテレビ局の他部門社員でもこう呼んではばからないのである。
そのテレビ局は深夜にダイジェスト放送していたのだが、新聞のテレビ欄に「ツールド仏」と載っていたときは、さすがにこれが世界最大の自転車ロードレースだと気づくのに10分かかった。ツール・ド・フランスって全角で10文字だから文字数に限度があったのだろう。
いずれにせよ、「ツール・ド!」という言葉が日本における自転車文化の普及発展に寄与していることは間違いなく、ボクとしては容認の意向だ。
《山口和幸》
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