錦織、フェレールに勝利…準決勝進出を決める
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
対戦を予定していたラオニッチが負傷で欠場。このため直前で対戦相手が変更。リザーバーとして用意していたフェレールとの試合になった。
ビッグサーバーのラオニッチと、ベースラインでプレーするフェレールでは選手としてのタイプが正反対。何度も対戦している相手とは言え、急な変更に戸惑いも隠せない第1セットは、前2試合同様サーブが決まらない。
錦織とフェレール。タイプが似ている2人のテニスはストロークの応酬から、先にミスをしたほうが落とす我慢比べとなる。接戦の中で先にセットを取ったのはフェレールだった。
第2セットに入って錦織は徐々に調子を上げてくる。課題だったサーブも決まりだし、サービスエースも記録。第1セットと同じく我慢比べが続いたが、今度は先にフェレールが音を上げた。
思うようにいかない自身のテニスに苛立ち、フェレールはラケットをコートに叩き付け折ってしまう。
第2セットを6-4で取った錦織は、ここからエンジン全開。試合後に本人も「ほぼ完璧だった」と振り返る第3セットになると、これまで決まらなかったのが嘘のようにサーブが入り出す。
威力あるファーストサーブでフェレールの体勢が崩れ、試合を有利に進めることができるようになった錦織。最後は6-1でセットを取り、セットカウント2-1で3試合の成績を2勝1敗とした。
準決勝進出の望みを託し、フェデラーとマレーの試合結果を待った錦織。2勝1敗で並んだ場合、セット獲得率で順位が決められる今大会。マレーがフェデラー相手に1セットでも落とした時点で、錦織の準決勝進出が決まる。
その試合、フェデラーは地元の大声援を受けたマレーに6-0、6-1の圧勝。3戦全勝で準決勝進出を決めた。
この結果を受け錦織のアジア人初となるATPワールドツアー・ファイナル準決勝進出も決まった。
この試合には見守ったファンも大興奮だった。
「錦織かっこよすぎるわ」
「錦織選手すごかったなぁ!ドロップショットが渋すぎた」
「錦織が歴史をつくる瞬間に立ち会えるとは幸せなことだ」
「ここ最近のテニスの注目度すごいな。ちょっと前まで対して話題にもならなかったのに それだけ錦織はすごいことしたんだな」
「準決勝も次の日仕事ですが観てしまい そうです!」
リザーバーという出番があるか分からない難しいポジションながら、コンディションをベストに整え、1セットを取ったフェレールも最終戦に相応しい素晴らしいテニスだった。両者の動きがときに噛み合いすぎるほど噛み合ったからこそ、見応えのある試合になった。
《岩藤健》
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