まずは自転車を利用する人が多いということ。この記事でも「自転車の利用率と事故率の関係」と題して利用率(分担率)を横軸、事故率を縦軸とする相関図を載せ、そこに一定の傾向があることを示しています。図にはなぜか草加市が載っていませんが、国土交通省の統計によると利用率は19.1%。これは死傷事故発生率ワースト2の戸田市(21.7%)に匹敵します(ただし、戸田市の利用率が平成22年の国勢調査であるのに対し、草加市は平成12年の同調査)。
(1)市域の大部分が平坦、(2)利用できる鉄道が東武スカイツリーラインにほぼ限られ、市内の最も遠いところは駅まで3km以上。これらが自転車利用率が高い理由と考えられます。とはいえ東大阪市や門真市のように、利用率30%以上でも戸田市や草加市より発生率が低い自治体もありますから、そればかりが原因とはいえません。
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道路種別自転車事故数
次に道路環境に目を向けてみましょう。市内の道路延長は国道が13.1km(2.17%)、県道が21.6km(3.58%)、市道が568.6km(94.25%)となっていて、草加警察署でいただいた統計資料で今年の事故件数を見ると、国道が35件(8.1%)、県道が109件(25.1%)、市道が290件(66.8%)と、距離に比して国道と県道での発生率が高いことわかります。国道も県道も交通量が多いため、それが事故件数に表れていると見なすこともできますが、県道104号(川口草加線)のように路肩の幅が狭く、自転車の走行空間が十分確保されていない道が多いため、それが交通量の多さと相まって発生率を高めているのではと推察します。
警察署の統計資料には、年齢層別の死傷者数も載っています。65歳以上の高齢者が90人(20.3%)と最も多いのは当然として、目を引くのが16~24歳の87人(19.6%)。これは15歳以下の59人(13.3%)を上回っています。草加市の人口は24万4000人余りで、そのうち16~24歳が8.8%(2万1350人)ですから、人口で占める比率より高いわけです。
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年齢層別死傷者数
15歳以下より運動能力に優れ、社会常識も身につけているはずの彼らがなぜ事故に遭うのか。それは自転車に関する法規を正しく理解し、実行に移していないからではないでしょうか。草加市の場合、小学校では自転車教室が毎年行われ(3年生対象)、独自の自転車免許証も交付されていますが、中学校や高校での教室開催は毎年1校ずつに限られます。これでは十分とは言えません。車道の逆走を誘発するということで改められた路側帯の通行方法も、そもそも学校現場では知る機会が与えられていないのです。
この中学校や高校での自転車教室については愛媛県が先進的な取り組みを始めたということで、次回はそれについて紹介しましょう。
(注1)「安心のペダル第2部:第1回 自転車事故率、上位固定化 ワーストは埼玉県草加市」(2014年11月06日)
(注2)人口10万人あたりの死傷数で、2012年までの10年間の平均