負傷欠場したステファン・トンプソンンの代役として、急遽この試合を引き受けたヘンダーソン。ウェイトは本来のライト級より1階級上のウェルター級、しかもドナルド・セローニに敗れた1月18日の試合から、わずか1ヶ月での連戦というハイペースだった。
両者の体格差は一目瞭然。それでも元王者としてヘンダーソンは総合格闘技10連勝中、UFC2連勝中のザッチに先輩としての意地を見せる。
第1ラウンドから互いに自分の持ち味を見せる攻防が展開された。破壊力抜群の打撃でザッチが押し込めば、ヘンダーソンは軽快なフットワークと豊富なコンビネーションで上下に打撃を散らし、やや遠い間合いから飛び込み様の右ボディでザッチのスタミナを削る。
第2ラウンドに入ると地元の大声援を受けたザッチが蹴りでリズムを掴む。立った状態の組技でも、大外刈りでヘンダーソンを2度マットに倒した。パワーで勝るザッチが優位な流れを作る。
第3ラウンドもスタンディングではザッチのパワーが優勢。ヘンダーソンはグラウンドで活路を見出すべく、テイクダウンを狙う。1度はザッチがしのいだかに見えたが、ヘンダーソンが粘り勝ちマットに転がした。素速くバックを取りチョーク狙うが、ザッチも必死の抵抗を試みる。パンチで削りながらアームバーを狙うも、これはザッチが外し立ち上がる。
第4ラウンドに入ると、両目の下が腫れ上がったザッチは疲労の色が濃く、対してヘンダーソンはまだ力が残っていた。グラウンドでは自分に分があると見たヘンダーソンは、片足タックルから再びテイクダウンを狙うもザッチが防ぐ。しかし一瞬の隙を突き胴に組み付くと、そのままグラウンドに引きずり込む。再び素速くバックを取りパンチで削る。体格で勝るザッチはフィジカルに物を言わせて立ち上がろうとするが、そこを後ろから捉えたヘンダーソンの右腕が首に深く巻き付き、タップアウトを奪った元王者が1本勝ちした。
「体格差をものともせずよくやった」「やっぱベンヘンはオーラあるな」「負けると思ってて御免なさい」など、中1ヶ月で階級を上げての勝利にファンからも感動したという声が多数寄せられた。