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GoProが日本で生まれなかったのはなぜか

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GoPro HERO4 ブラックエディション
GoPro HERO4 ブラックエディション 全 8 枚 拡大写真
2月18日、世界最大規模の家電見本市CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)の主催団体がカンファレンスを開催した。

全米家電協会(CEA)のゲイリー・シャピロCEOが登壇し、「CESアジアは5月に上海で行います。世界中のブランドがここに展示されます。会場規模は8500平米くらいです。アウディのルパート・シュタットラーCEOがキースピーチを行います」とアピールした。

イベントでは、CESに出展、取材、参加者というそれぞれの視点で参加してきた3名がパネルディスカッションを行った。日経新聞の関口和一氏、Cerevo CEOの岩佐琢磨氏、WiL共同創業者の西條晋一氏の3名だ。日本人の視点と世界の視点、両面からCESをどのように活用しているのかが話された。

日経新聞の関口和一氏(以下敬称略):2015年のCESは、IoT(Internet of Things。ものがインターネットに接続する)のCESに変わっていました。ドローンですとか。ここに来て、欧米のベンチャー企業は大きなプレゼンスを持つようになりました。これまでは大きな電機メーカーが存在感を示していましたね。

Cerevoの岩佐琢磨氏(以下敬称略)(スノーボードのビンディングにセンサーを埋め込んだ「XON」を2015年のCESに出展し、世界で注目を浴びた):Cerevo創業から7年くらいたちます。今会社は50名くらいです。設計からサポートまでやっている小さな家電メーカーです。ハードメーカー出身者のエンジニアが80%を占めています。販売の半分ほどは海外です。XONのアンベールでは非常に記者の方々に注目いただきました。

WiL共同創業者 西條晋一氏(以下敬称略):WiLというベンチャーキャピタルの仕組みを生かして、新たな企業に出資しています。ベンチャーと大企業、日本とシリコンバレーの架け橋になることをコンセプトにしています。

■今の日本の家電産業の立ち位置は?

岩佐:イノベーティブなハードウエアを作るためのコストが下がっています。日本の大企業が元気がないのではなく、「大企業が元気がない」。今年だけではなく、この7、8年で徐々に。例えばテレビですと、50インチのあとに60インチとか、既存の数字を大きくしていくことはあります。けれど、驚くようなハードウエアがないということです。そういう意味ではスタートアップの勢いはあったという印象です。

西條:投資、製品に面白いものはないかという視点で見ています。今回は小さなブースの方が面白かったですね。インターネットサービスの会社にいた経験から、アプリ、ビジネスモデルという視点で考えると、学べるようなブースがありました。

岩佐:過去2年、クラウドファウンディングで一定以上の金額を集めた会社がどうなっているかを調べましたが、非常に面白かったです。クラウドファウンディング出身の企業がトリガーになっていますね。これが活性化にもつながっていました。

■なぜ日本では革新的なデバイスが生まれないのか

岩佐:そもそも大企業はリスクを背負いにくい。逆にスタートアップではイノベーションを起こしやすいということです。ただ例えば、自動車を作るということで考えると、スタートアップではまだまだです。でもモジュールを購入すると大企業レベルのハードウエアが作れるという環境になってきたということです。

西條:アメリカですと、アマゾンのホームに「ホームオートメーション」とありデバイスが売っている。アメリカにはIoTのコーナーがあるんですね。ソフトバンクの孫社長のお言葉を借りると、日本はタイムマシン経営ができるということですが、IoTは日本では遅れているので、デバイスのモジュール化で、製品化のハードルが下がった割に、そういうことをしている人が少ない。

■ものづくりの日本にチャンスでは

関口:IoTはものづくり日本のチャンスかと思いますが、そのチャンスにまだ日本企業は参入していないかんじがあります。

岩佐:もう少し待ってくださいという感じでしょうか。来年とか。2011年くらいにはハードウエアをやるというと、投資もなかなかなかった。しかし今は、投資の環境もあるのでここ1、2年かと。日本でやることには意味があります。有利だからです。日本はハードウエアの作り込みのエンジニアの数は一番多い。ネジを締める、アッセンブリは中国や台湾でしょうけれど、組み込み、設計というコアの所は日本人の強みです。

西條:ハードウエアベンチャーが徐々に出てきているというのは確かです。本国で設計して中国台湾で組み立てるアップルのようなやり方と、日本でやるという方法があります。ただ、ベンチャーと大企業には壁があります。大企業に話を持っていくとしても、ドアノックの場所がわからないとか、できないというのはあります。

岩佐:僕が大企業からベンチャーを興した(岩佐氏はパナソニック出身)のは、ゼロイチが好きなんです。弊社は大企業出身者が多いので、大企業にアクセスする方法も、文化もわかっていますので、パナソニックさんとともにコラボしたり、ということもあります。でもハードウエア企業が新たに出てこないというのは事実で、我々は旗を振るしかないです。

西條:ベンチャーキャピタルの資金は余ってます。気鋭の企業が出てくるには、ムードと成功事例が必要です。gumiが上場しましたが、国光社長は明るくてビジョナリーですね。そういう成功事例を作っていくということです。なぜ日本からGoProが生まれなかったのか。アクションカメラ分野への集中と、YouTubeマーケティング。GoProの企業価値は高まっていますね。それも成功事例ですね。

岩佐:やはり大事なのは、徹底的にスピードです。日本は全体的に遅い。ハードウエアの世界はフラットです。日本人はスタートするまでに時間がかかりますね。設計デザインは日本で、ネジを締めるのはアジア各国でいいです。日本の優秀なコンポーネントを活用して、日本の製品を作っていくということです。

《土屋篤司》

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