【Next Stars】ムエタイは「芸術」。世界王者の哲学とは…ムエタイ Little Tiger選手 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Next Stars】ムエタイは「芸術」。世界王者の哲学とは…ムエタイ Little Tiger選手

オピニオン ボイス
ムエタイ  Little Tiger選手
ムエタイ  Little Tiger選手 全 12 枚 拡大写真
「獲るべきタイトルは全て取った。」本場タイに単身乗り込み、アウェーの地でも無双しているLittle Tiger選手。「芸術」とするムエタイを極め続ける哲学。強さの秘密は、その姿勢にあった。

▲ムエタイとは(wikipedia引用)

“ムエタイは、格闘技の一種で、発祥地・タイでは国技に指定されている。ムエタイの選手はナックモエという。両手、両肘、両脚、両膝の八箇所を用いて相手と戦う。”




■「芸術で敵を倒す」競技、ムエタイ

---:ムエタイの特徴を教えてください。

Little Tiger選手(以下敬称略):キックボクシングとは違います。野球とボクシングくらい違いがあります。タイの国技で、タイは仏教なので、試合の前にも祈りの儀式や、踊りなどがあります。全てのものに感謝をするという思いの中で戦いをはじめるので、そこも非常に魅力のある競技だと思います。

他の格闘技と比べて芸術性のあるスポーツだと思っています。ただ戦うだけではなく、華麗な戦い方、芸術で敵を倒す、というのが魅力的でこの競技を始めました。




---:「芸術」という点につきましてもう少しお伺いできますか。

Little Tiger:パンチひとつひとつ、その中にもストーリーが存在しています。キックのポイントが高いのですが、キックで相手を倒すというのは非常に難しいので、いかにそのハードルを越えていくのか、というところを考えていくのが本当に魅力的だと思っています。技術がないとキックで相手を倒すということはできないので。

キックボクシングだとパンチで倒していくのが普通なのですが、ムエタイはキックが中心です。あとは、接近戦になったら首相撲。肘うちなどで相手の顔を切っていくという感じで戦います。

---:格闘技に取り組み始めたのはいつ頃から?

Little Tiger:小さい頃から小学校6年生までは空手をやっていました。その後は一旦格闘技から離れ、再び格闘技をスタートし、ムエタイをはじめました。

---:戦いはどこで行なうのですか。

Little Tiger:日本とタイが半々くらいです。

---:タイには年間でどのくらい行かれるのですか。

Little Tiger:長くても1か月~2か月くらいです。回数としては年に5、6回ですね。タイに武者修行に行ったこともあります。タイでの本当の強さを探しにいきました。

---:日本では認知度をはじめ様々な苦労があると思います。

Little Tiger:競技だけではなかなか食べていくことは難しいですが、少しでも多くの人にムエタイの魅力を知って、伝えていって、最終的にはお客さんとなってくださるような方も増やしていくことができたら、と思っています。

---:今は競技一本で活動されているのですか。

Little Tiger:はい、現在はスポンサーさんもついてくださっていて、これ一本でやらせていただいています。





■「強さの秘訣」を追い求め帰着した、タイと日本の融合

---:タイの国技でもあるということで、タイでは盛んだとは思うのですが、その国に日本から乗り込んで行き、世界チャンピオンを獲得するためにはどういった工夫などがあったのでしょうか。

Little Tiger:「タイ人がなぜ強いのか」というのを探りに行ったときに、国民性というのもあると思いますが考え方も全く違うし、背負っているものの重さもまったく違う。それを深く探っていくためには、まずは言葉や生活、文化を理解しなくてはならないと思ったので、まず言葉を勉強しました。タイ語が話せないと、通訳を通してムエタイを学ぶだけでは本質的な深いところまでは学べなくなってしまうので。実際にタイ人の微妙なフィーリングなども理解できるようになってくると、やはり学べるものが増えてきました。

そして、最終的にはタイ人のいいところだけをとっていきました。日本で自分が所属しているジムで、タイ語を話せるのは自分だけですし、そういったところでも他の日本人選手とは差別化されていると思います。

戦ったタイ人の選手とは全員友達になります。普通、日本人選手などがタイの選手と戦うときは向こうの選手の情報がほとんどない状態から戦わなくてはならないのですが、私は向こうの選手友達に対戦相手の情報なども聞くことができたりするので、そういう面では強いと思います。

タイに溶け込むことも大事だと思います。溶け込むことをしないで反発ばかりしているとタイに受け入れられないので…。溶け込むことをすると、日本にいるタイ人のトレーナーや、タイ料理屋のママさんとかも私のことを知って、応援してくださるような状態になります。戦う相手がタイ人の場合でも、私の方を応援してくださるタイ人の方も沢山いる、というな状況もかなり増えてきました。

---:タイにまずは溶け込み、いいところだけを盗む、ということですが、それに日本的要素はどういった点で融合してくるのでしょうか。

Little Tiger:タイ人は口癖が「大丈夫」という言葉で、なにがあっても「大丈夫、大丈夫」と口にするのですが、それをすべて聞き入れていると本当に大丈夫ではない場合も「大丈夫」と考えるようになってしまうので、そこのところは日本人要素として「予備をつくっておく」というか。「Aが駄目ならB、Bが駄目ならC」といったような。





---:日本のいいところ、タイのいいところを融合させて強さを生み出しているという感じなのですね。技術が重要な競技ということですが、練習などでどのような工夫をされたのですか。

Little Tiger:見てくださるトレーナーなどと協力して、自分の動きの中で無駄な部分をどんどん排除していきました。この蹴り方だったらこうすれば無駄がない、ということを考えつつ練習しました。あとは、タイ人選手の技でいいものがあれば徹底的に真似しました。

■ただ「強い」だけではない、本当のチャンピオン

---:目標とするところは。

Little Tiger:獲るべきベルトはすべて獲得してしまったので、「ムエタイの美しさ」を見ている人にも伝えられるような戦い方をしたいです。

ただ「世界チャンピオン=強い」というだけでなく、チャンピオンという肩書きをとった後にはたして何が残るのか、普段の生活からも「本物のチャンピオン」でいられるように、子供たちからも目標とされるような存在にならなくてはいけないと思っています。

---:「本物のチャンピオン」は日常生活でどのような姿をされているのでしょうか。

Little Tiger:常に自分に妥協せず、「己に勝つ」ことを意識しなければいけないと思います。普段の練習でも妥協していたらそれが試合にも出てしまうと思うので。

▲編集後記

取材後、恒例だという猪木チョップならぬTigerキックをお尻にいただきました…。「世界」をお尻で感じた瞬間。Little Tigerさん、ありがとうございました。

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《大日方航》

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