【東京マラソン15】さらなる飛躍が期待される大イベントの課題は…大会振り返り
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最初の走者から最後の走者がスタートし終わるまで30分以上かかる、大規模イベントを追ったなかで見えてきた、イベントの実態について記す。まずは金額感に着目してみる。
■大規模イベントの収益性
◆【東京マラソン15】数字で見る、大イベントの実態
◆【東京マラソン15】大イベントに成長した東京マラソン、賞金の実態
ボランティアも1万人を越える数が集まり、寄付金にしても総額約3億円が集まったというが、参加費を1万円程度に抑えても黒字でやっていけるというのは、東京マラソンだからこそ可能なことだと関係者は話した。
地域振興を意図した行政イベントのひとつである市民マラソンは、自治体の補助で運営されることが多い。一般的な自治体の補助は30%程度だそうだが、東京都の負担金は全体の15%で済んでいるそうだ。これも、財政面での独立を図る独自の財団運営の効果であろう。
「東京マラソン」のブランドがあるからこそスポンサーからの協賛金を得ることができる。また、東京マラソンには10万円以上の寄付をすることによって参加が可能になるという、欧米にならった試みでチャリティーランナーを集める制度もある。
このチャリティーランナーには元サッカー日本代表の北澤豪氏などが参加していて、東京マラソンEXPOにてその熱い思いを語っていた。
◆【東京マラソン15】東京マラソンEXPO、元サッカー日本代表の北澤豪氏ら、スペシャルトークショー
決してチャリティーは「お金持ち枠」ではない。様々な特別の思い、目的があって走るのだと語る北澤氏の様子は、会場全体の雰囲気を変えるものがあった。
■ようやく表面化してきた世界の中の日本…テロ対策
加えて特に今回注目されていたのは「セキュリティ」の分野だろう。ボストンでのテロを受け、一般にも危機感が持たれている。様々な危険の可能性を不安視する人も多く、ある意味今回の東京マラソンの一番大きな目的は、「何事もなく大会を終える」ということであったかもしれない。地理的には島国であり、世界との温度差を海に隔てられているが、インターネットは世界をシームレスにつないでおり、その恩恵として世界との温度差は大きく縮まっている。
今回は、財団から6000人、警視庁からは4500人と導入された警備員に加え、今回からはじめて導入されたレースを走りながら監視を行う64人のランニングポリス、60台もの金属探知機の設置など、いままでの大会以上に安全策を強化。これらの策が功を奏し、結果として無事に大イベントを終わらせることができたといえよう。
◆【東京マラソン15】主催者会見、今大会の新たな取り組みまとめ
一般ランナーの管理、道路交通の整理を行うというのは並大抵のことではない。約250万枚の交通規制チラシ、約3万枚のポスター配布に加え、ラジオ告知は840回行ったという。
華やかな舞台の裏で、こうした地道な対策があったことも、触れておかなければいけない。
■関連会見の違和感
東京マラソンの運営側の血の滲むような努力は承知の上で、一部の報道陣から聞こえてきた声も、事実として存在する。
前日会見での一幕だ。「華やかな会見ではあったものの、担当者は淡々とレジュメを読むのみで、なにが言いたかったのか見えてこなかった」。会見途中で席を立った記者は話した。会見後、記者が担当者に意見する姿もあった。
選手たちがマラソン走破後、表彰時の会見においても、少しの違和感があった。表彰台に立った勝利選手にコメントはなく、表彰イベントは商品贈呈で終了した。勝利者の言葉を、表彰台で少しでも聞きたかったのは、取材者ではなく一ファンとしての実感だ。
■スポーツと権利ビジネス
スポーツは権利ビジネスの側面がある。選手やイベントの映像、写真の権利取得に大きなお金が動く。他のメディアに許可を簡単に与えるわけにはいかない。
そもそも大きなスポーツイベントで、もともとはメディアが興したものというのは数多存在する。一部のメディアがイベントを立ち上げ、そのイベントを育てることで権威となり、大きなビジネスになる。また新たな成功事例が出来上がった。
総じて大きな成功を続けている東京マラソン2015。今後は海外との連携を深め、更なる成長を目指していく必要があり、体制の柔軟な構えと、新たな枠組みの構築は継続的に求められていくだろう。全世界から、この巨大イベントの更なる飛躍が期待されている。
《大日方航》
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