クリエイティブエキスポで見たメーカーズムーブメント
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会場に入ってまず驚いたのは、スターウォーズでおなじみのR2-D2がお出迎えしてくれたこと。そう、3足歩行のいかにもロボットという声、というか音でコミュニケーションするロボットだ。これはR2-D2ビルダーズクラブというグループが展示しているものだった。R2-D2ビルダーズクラブの発足は1999年、世界に5000人もの会員がいて、実際の生活に根差したRシリーズのドロイドを作るのが目的らしい。話しかけるとちゃんと応えてくれるし、ボディのいくつかのパーツも反応してくれる。言葉を発せず音なので、ちゃんと理解しているのかは疑わしいが、アメリカ人には大人気。子供たちが群がり、一緒に記念撮影をしたりしていた。
そのほか、いくつかユニークな展示があったので、ここで紹介しよう。
■子どもたちに、科学への興味を抱かせる
一人で参加し、特に出展者名もないおじさんが、水に溶かすと色が変わる白い粉を披露。その水にレモンを絞ると、紫色からピンク色に変わる。といっても何のことかわからないかもしれないが、これは酸性かアルカリ性かによって色が変わるという粉末で、いわゆる理科的な話。つまり土が酸性かアルカリ性かでこの水に溶けた粉は色が変色し、植物の花の色を変化させることができる。これを利用し、花壇などの花を好きな色に育てることができるのだという。
またオースティンの子供ミュージアムthinkeryのブースでは紐の長さが違う釣り下がったポットを並べて同時に離すとどのように揺れるかを見せ、こちらは物理的な気づきを与えるような展示を実施していた。いずれも子供たちにこれらの科学的な興味を沸かせるには十分な展示と言える。
■オモチャも本気なSABERTRON
SABARTRONというソフトチャンバラのオモチャも展示されていた。このなんの変哲もない、剣先がスポンジのオモチャはなんと小型のカラーモニターと高度なセンサーが入った優れもの。剣同士がぶつかった場合はぶつかった音がするだけだが、体に当てると当たったほうの体力ゲージが減って、3回あてられると勝敗がつくというもの。最初にBluetoothでペアリングを行うところはかなりハイテクだ。
■家のちょっとしたものをハイテク化するPeeple、Switchmate
ドアについているのぞき穴(ドアスコープ)をデジタル化するPeepleが斬新だ。のぞき穴がデジタルビデオカメラになって、スマホやPCで見れるというそれだけのものだが、確かに便利だ。覗き見るときだけアクティブになるので、バッテリーはおおよそ6ヵ月もつそうだ。アナログをデジタル化するという観点ではSwichmateという家の電気スイッチをデジタル化するガジェットも展示されていた。これはアメリカで標準的な突起を上げ下げするタイプのスイッチをデジタル化するもの。スイッチパネル部分に張り付けるだけなので、工事いらずで便利なアイテムだ。
■半導体メーカーが目指すIoT ARMmbed、SILICON Lab
半導体メーカーARMが展開するIoT向けOSとFreescaleが組んだ展示は、いわゆるセンサーや開発者用基盤を紹介するものだが、こちらが面白いのはちゃんとクラウドを利用したサービスを想定していることだ。カプセル型のエスプレッソマシンのカプセルの色を判断し、最適な温度、お湯の量を調整するデモが披露されていた。何とも今どきのIoTらしいスタイルだ。ちなみにARMmbedというOSはIoT向けに単純化し、消費電力を抑えられる代物。
また地元オースティンの半導体会社SILICON Labではセンサー、開発基盤などIoT向けの商品が目白押しで、指紋センサーから温度計、太陽光電池など様々。実際にデモをしてくれている方は腕時計まで自作で作っている。またこちらの会社では子供たちにセンサーを使って簡単にできる電子機器を作ることを教えていた。地元企業ならではの地域還元の姿ではないだろうか。
他の展示会場に比べ規模は小さいが充実した展示内容で地元の子供たちも大いにはしゃぎ、勉強になったことだろう。こういった場所から米国のイノベーションの生まれる環境が育まれているのかもしれない。
【SXSW2015】クリエイティブエキスポで見たメーカーズムーブメント
《亀川 将寛@RBBTODAY》
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