電王戦FINAL第2局、永瀬六段が意表をつく勝利…立会人三浦九段「震え上がるほどの勝負勘」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

電王戦FINAL第2局、永瀬六段が意表をつく勝利…立会人三浦九段「震え上がるほどの勝負勘」

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電王戦FINAL第2局、Seleneと永瀬拓矢六段の対局が高知城追手門で行われた。

序盤の数手から将棋界でいう「定跡」とは違った手を指すSelene、序盤から解説陣も困るほどの難解な局面が続いた。中盤以降駒がぶつかるも形勢がどちらにかたよるか緊張した場面で、永瀬六段はひと筋を攻めて攻勢に出る。

後手永瀬六段△1六角で先手玉に王手、先手Selene▲2七歩打で玉を守る、△同角王手、成らずと打たれて、Seleneは他の駒を動かす手をプログラム上では示す、将棋のルール上、王手放置で反則敗けのため投了した。

Seleneは相手駒の「不成り」に対して対応していない。いわゆるプログラムミスであった。前代未聞の事態に、立会人、三浦九段他片上理事関係者は困惑するも、中立に形勢判断した上で永瀬六段の勝利という結論に至った。

終始ニコニコ動画ニコニコ生放送でも中継されて、対局者の永瀬六段と立会人三浦九段が盤面解説にてユーザー、視聴者にも説明。永瀬六段が相手を詰みに追い込むところまで解説された。通常の公式戦ではない異例の事態であった。

記者会見で永瀬六段
「不成りをして、相手セレネが対応していないのは偶然見つけた。もし今回不成りには修正済みもしくはそのままでも対局は続行すると思っていた。不成りを指すことで相手の時間を削って自分の考える時間をただ単に長くしたかっただけだが、予想外の結末。相手側から形勢を見て自分自身の棋力では受けきることができないと判断して不成りでいってどうなるか、もし指し手が止まっても裁定や審議の間に時間を使えると思ってしただけだった。序盤から相手が得意で自分が不利にな形勢なだけに、勝利に持ち込めて嬉しい。」

Selene開発者、西海枝氏
「毎回プログラム新しくするときは、ゼロからプログラムを作り上げていて、不成りに対応することを入れていなかった。自分の開発者としてのミスであり、それが王手放棄、反則負けにつながった。今後のコンピュータ将棋の試合でもそこをついてくる他の開発者もいるので修正したい。もし対応していても、その後は永瀬六段が勝利をする流れに行くだけだったので、敗けだったと思う。」

盤外での関係者立会人三浦九段
「不成りに対してコンピュータ側が対応していないというのを知っていて、最終盤でここぞというときに繰り出す、勝負勘、勝負術は同じ棋士として震え上がるほどだ。プロだから勝ちをたぐり寄せるのはあたりまえだけど、予想外だった。角成らずと指して、コンピュータ側が戸惑って、コンピュータ側が時間を少しでも使うときに自分の考える時間を稼ぐための手段なのだと思っていたのだけど、対局が続行できない事態になってしまったのは予想外でした。」

片上理事
「人対コンピュータという場において、こういう状況もあるのだなと思うしかない。何が理想的とか卑怯とかいう話ではなく、人とコンピュータがするものだからこんなこともありうるのかなと。私もこんな局面に慣れてくるというのもあって驚きはそんなにないんだけど、今後の対応策が非常に難しい。」

まさかの結末で、ルールの隙をついて、勝利を呼び込んだ永瀬六段。先週の斉藤五段の勝利とはまた違うが、コンピュータの意表をつき、弱点を見ぬいた棋士の意地を感じる一戦であった。

《上水流晋》

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