【小さな山旅】茨城県最高峰の山自慢…栄蔵室~花園山(1)
オピニオン
コラム

どうやら、栄蔵室の"茨城県最高峰"は、「県境をまたがない」という条件付きであった。なるほど、栄蔵室よりも標高が高い八溝山や高笹山(921.5m)は、福島県にまたがっている。それでも最高峰と知ると登ってみたくなる。「茨城県の最高峰に登ってきたよ」と自慢できるではないか。
その自慢を聞いた人は、「八溝山じゃなかったっけ?」と不思議に思うことだろう。そうすれば、「八溝山は、福島県をまたいでるからね」と今しがた得た知識を披露するチャンスだ。
また、あまり山を知らない人は「茨城県って、筑波山が一番高いんじゃないの?」と聞いてくるに違いない。そのときは、先程のうんちくを語りつつ、その筑波山(877m)よりも高い山を登ったのだと自慢できるだろう。
名前も何だか格好が良いではないか。栄蔵室である。○○山や○○岳でなければ、○○岩や○○峰でもない。室(むろ)なのだ。室(しつ)と読んでしまいそうだが、"むろ"なのだ。冷蔵室と似ているが、まったく違うもので、特にひんやりとしている訳ではない。珍しい呼び名であるがゆえ、格好が良く、そこを登ったならば、さらに格好が良い。
栄蔵室にはまだまだ自慢できる情報がある。山頂は「関東の富士見百景」に指定されており、関東地方で富士山が見える最北限の地であるらしい。「富士山」に「最北限」とこれまた魅力的な自慢ワードが盛り込まれている。
また、栄蔵室は、県立花園花貫自然公園内にあり、ブナの自然林が有名であるらしい。自然公園、ブナ、自然林…。もはや、栄蔵室に関する言葉は、何でも魅力的に思えてしまう。
ともあれ、魅力がたくさんあるのはいいことだ。魅力が多ければ、楽しみも多い。登れば人に自慢もできる。何より友人を山へ誘いやすい。
栄蔵室の情報を山の初心者・友人Nに伝えると、案の定、Nは誘いに乗ってきた。
「筑波山が一番高いんじゃないの?」
「なんだ、この名前、かっこいいじゃん!」
「富士山見えるのか、すごいな!」
思惑どおりの反応を示すNである。これにて、今回の旅のお供はNに決まった訳である。
5月のとある日曜の朝、「まだまだ眠い…」とボヤくNを、しめしめとほくそ笑みながら車に押し込んだ。そして、栄蔵室のある北茨城市へと車を走らせた。
《久米成佳》
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