西尾:青森県内を移動中、宿泊予定のキャンプ場が閉鎖していることが判明。18時前に20km先にある鯵ヶ沢駅前の旅館に電話し、宿泊を頼み込みました。宿に着いたのは19時過ぎでしたが快く迎えてくれ、素泊まりだったのに風呂上がりのビールにはたっぷりの漬物を。さらに翌朝にはおにぎりまで作ってくれました。最後は近所の人たちと一緒に見送り。旅先での親切は心に残ります。
北海道のライダーハウスで出会った、徒歩旅の夫婦も印象的でした。登山をしながらの旅で、手作りのキャリングカーにテントその他の荷物を載せ、前夜は野宿したとのこと。ふたりとも飄々としたたたずまいで、奥さんも大変な感じをおくびにも出さず、旅を楽しんでいました。
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原爆によって吹き飛ばされた山王神社の二の鳥居。奇跡的に一本だけが残った
---:落車したことはありましたか。
西尾:立ちゴケに近い状態でしたが、2回ありました。フロントバッグが重く、バランスを崩して転倒したというものです。特に夕張駅前での転倒はヒザ頭を強く打って歩けない状態となり、骨折したものと。腫れや痛みが翌日まで残れば医者に行くつもりでしたが、痛みは残ったものの大きな腫れはなく、自転車には乗れる状態でしたので助かりました。
---:日本一周中に心がけたことで、これは大事だと改めて思うことは?
西尾:やはり健康の維持ですね。幸いにも病気になることはありませんでしたが、ノドの痛みや寒気がすると、早めに薬を飲んで床に就くようにしました。それから野菜も意識的に摂取するように。自転車も足まわりのチェックは欠かしませんでした。
それから電話や地図、写真、SNSや情報収集などにスマートフォンが大きな役目を果たしました。そして道中においても、Facebookで多くの励ましをもらって勇気づけられ、何人もの友人ができました。
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糸魚川のブラック焼きそばは、麺にイカスミをからめている
---:これはこうすべきだったという反省点はありますか?
西尾:電源対策としてソーラーパネル&充電器を持っていったんですが、PCにもバッテリーがあるので、もっと小型のもので十分でした。逆に雨対策として靴やスマートフォンのカバーがあればよかったなど、持ち物のチェックはもっとしっかりやるべきでした。
---:これから日本一周に挑戦する人に対するアドバイスをお願いします。
西尾:自転車旅の若い人で、訪れた先々でアルバイトや長居をしてる人を何人も見かけました。のんびり回っている人や逆の人、行き当たりばったりの人など、旅のスタイルはそれぞれ。この点で特にアドバイスすることはありませんが、自転車に関する知識の低さが気になりました。
変速機やワイヤーの調整ができず、おかしいと言いながら走っている人、チェーンやギアが汚れ放題の人、工具や修理キットを持っていない人など。やはり万が一を想定し、自分で対処できる最低限の知識や技能を習得してから旅に出るべきだと思います。
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いかがでしたでしょうか? 旅と自転車に関する最低限の知識と技能を備えさえすれば、日本一周がけっして越えられない壁でないことがわかっていただけたかと思います。自由になる時間(150日)とお金(100万円)を用意して、いざ日本一周の旅へ。そこにはかけがえのない何かが待っているでしょう。