目的地が九州ということで、アプローチには航空機を利用します。時間のゆとりがありますから船も考慮したのですが、現在、首都圏と九州を結ぶ定期航路はオーシャン東九フェリーの東京~徳島~北九州しかありません。しかも所要時間はなんと34時間。さすがに気持ちがなえました。ちなみに船の運賃は1万4880円~で、自転車は輪行なら無料、完成車だと3160円かかります。
で、気になる航空機の運賃は、なんと1万3590円。船より安いんですね(東京~宮崎。帰りの熊本~東京は2万790円)。その理由は75日前まで予約可能という、日本航空のウルトラ先得を利用したからです。購入後の予約変更は不可で、取消手数料は運賃の50%相当額という縛りはあるものの、この価格は魅力です。観光客の増す連休は料金が上がるのが通例。したがってこのプランのように、それに影響されないものを探すといいでしょう。
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阿蘇五岳を一望できる大観峰
宮崎空港に降り立ったら、そのままJR宮崎空港線の駅へ。ここは地方空港には珍しく、鉄道が乗り入れているので便利です。1時間強の所要で南日向駅に着いたら、そこで自転車を組み立てて北上を始めます。国道10号なら最短距離となりますが、急ぐ旅ではありません。日向岬などに立ち寄りつつ、延岡市街で一泊します。
翌日は五ヶ瀬川に沿って高千穂峡を目指します。この区間は2005年まで高千穂鉄道が運行していましたが、台風によって甚大な被害を受けて全線休止。そのまま廃止されました。今は高千穂駅からの一部区間で、観光列車スーパーカートを運行。現地を訪れたら乗ってみようと思います。国の名勝・天然記念物にもなっている高千穂峡では、貸しボートから眺める真名井の滝に期待が膨らみます。
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湯けむりに包まれる温泉街。ここに2泊する予定
3日目は高千穂から阿蘇内牧温泉まで。途中で阿蘇の外輪山、さらに内輪山を上るハードな行程ですから、体調を考えてショートカットすることも想定しています、といいましょうか。スタートの宮崎空港から高千穂の先の高森までは、鉄道と路線バスを乗り継いでの移動もあり。骨折した右腕の回復が思わしくない場合は、自転車をあきらめて公共交通機関に頼ろうとの魂胆です。
雑誌の記事で、ふと目にした杖立温泉に向かう4日目は、「ラピュタの道」とも呼ばれる絶景ルートを上って外輪山の尾根道へ。瀬の本高原からは日田往還、旧小国街道をたどります。杖立温泉は印象に残る温泉に挙げた秋田の澄川温泉と同様、湯治場として栄えた歴史を有し、噴出する蒸気を利用して加熱調理する"むし場"も備えています。療養も兼ねて連泊する予定ですから、地元ガイドが案内する「みちくさ案内」にも参加して、土地の魅力を心ゆくまで味わおうと思います。
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背戸屋(せどや)と呼ばれる狭い路地
最終日は熊本空港まで一路南下。航空機の搭乗時刻が決まってますから、日田街道をメインに幹線道路を淡々と走ることになりそうです。そうはいっても途中には大分・熊本県境の兵戸峠もあり、大変ながらも走りがいのある道になりそうです。
今回の自転車旅行の走行距離は309.4km。連泊する1日を除いて、1日平均61.9kmとなります。ちょっと走り慣れた人には物足りないくらいでしょうが、行く先々での観光を考えると、これでも長いかもしれません。まあ、そのときは前述したようにショートカットをしたり公共交通機関を頼ったりすればいいわけです。計画に固執せず臨機応変に対応する、これが自転車旅行を楽しむ秘訣といえましょう。