■各球団の指名戦術
さらに、その根本氏が南海を買収したダイエー(現ソフトバンク)に監督として移籍して、その後は球団専務から社長へと駆け上がっているが、ダイエーでは駒澤大学への進学希望だった城島健司を獲得するなど、様々なドラフト戦術を仕掛けてきた。こうしてダイエーがひとつの時代を築き、フロントの経営悪化でソフトバンクにチーム名が変わっても、また根本氏が他界しても、さまざまなドラフト戦略で獲得した選手が中心になってチーム力が上がり、充実期を迎えている。
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そして現在ソフトバンクに代わって、ドラフトの主役となっているのが、日本ハムだ。獲得には失敗したものの、巨人一本を宣言していた東海大の菅野智之を敢然と指名したこともあった。メジャー志望を明言していた花巻東の大谷翔平を熱いレポートで日本ハム入りに導いて、「"二刀流"に挑戦してみないか」と口説き落としたことも記憶に新しい。
有望選手のクジ運もさることながら、こうした各球団の指名戦術などを読んでみることもまた、ドラフト会議を楽しむための要素でもあろう。今年もドラフト会議が近づいてきた。何か起きるのか、何も起こらずすんなりいくのか、そんなことを思うのもワクワクさせてくれるものだ。
ただ、いずれにしてもドラフト会議はアマチュア球界とプロ野球界との大事な架け橋である。それだけに、ファンはクリーンなドラフトを希望している。