【山口和幸の茶輪記】2016ツール・ド・フランス開幕地…世界遺産モンサンミッシェル | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】2016ツール・ド・フランス開幕地…世界遺産モンサンミッシェル

オピニオン コラム
【山口和幸の茶輪記】2016ツール・ド・フランス開幕地…世界遺産モンサンミッシェル
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毎年8500万人もの外国人旅行者が訪れるフランスは世界随一の観光大国だ。それだけにツール・ド・フランスがちょっと走れば世界遺産にぶつかる。美しい大自然や歴史的建造物をつなぎ合わせるように回るのだから、23日間のレースを追いかけながら観光旅行できるという魅力も。

ツール・ド・フランスは毎年コースが変わる。だから開幕地も毎年異なる。近年の傾向としては五輪やサッカーワールドカップ(W杯)と大会日程が重複する年は、フツーにフランスで開幕しても興味どころを持っていかれるので、海外開幕として話題性を喚起する戦略を採る。

2016年はW杯イヤーではないのだが、フランス開催となるUEFA欧州選手権とかぶるためツール・ド・フランスにはとっておきの開幕地が用意された。ノルマンディー地方にある世界遺産、モンサンミッシェルである。海に浮かぶ小島に作られた荘厳な修道院はその独特な景観で日本でも知らない人は少ないだろう。



ボクがモンサンミッシェルを初めて訪れたのは2002年だ。ツール・ド・フランスが50kmほど離れたアブランシュにゴールした日の夜に日本人取材陣が10人ほど集まって、モンサンミッシェルまで仲良く観光に行った。到着してみるとツール・ド・フランス関係者のクルマがズラリと並んでいて、普段は自転車レースに集中している人たちも京都の修学旅行生のように楽しんでいた。ラ・メールプラールで名物のオムレツを人数分頼んだ。

世界チャンピオンとしてその大会に参戦していたスペインのオスカル・フレイレもホテルを抜け出しておのぼりさんの仲間になったらしい。じつは翌日のスタート地点に彼の姿はなかった。落車の影響もあってスペインに帰ったという。「ツール・ド・フランスに出たんだから、モンサンミッシェル見てから帰ろう」という感じだった。

2002年に訪れたときは、島に隣接した駐車場にクルマを置いたのだが、「午後8時には帰るよね」と係員に念を押されたことを記憶している。不思議に思っていたが、約束の時間にクルマに戻ってみるとヒタヒタと潮が満ちてきていて、あと30分もすれば駐車場が海の底になるのだと理解した。

2013年のときはサルドプレス(プレスセンター)が砂地に仮設され、そこに向かうボクのクルマのカーナビ画面が海の中を走っているのに笑ったが、大潮になるとサルドプレスの位置も水没するらしく、笑いごとではないことが分かった。この年は個人タイムトライアルとして行われた第11ステージのゴール地点となった。新城幸也に追走する審判車にさいたま市の清水勇人市長が同乗し、声援を送っていたあの日だ。ゴール後の新城は「モンサンミッシェル、意外と小さかったな」と周囲を笑わせた。



現在のモンサンミッシェルは大規模な海洋環境復元工事が完了し、堆積した砂が取り除かれ、一年のうち半分は海に囲まれるようになった。3年がかりで完成した760mの木製の新しい橋は大潮になると水没してしまい、モンサンミッシェルがぐるりと海水で囲まれる姿が見られるのである。これはじつに見事だ。

「死ぬまでに一度は訪れてみたい世界の絶景」という本が話題のようだが、モンサンミッシェルはそのなかでは手っ取り早い絶景だと思う。2016年はぜひツール・ド・フランス観戦がてらに訪問してみては。コースの全容は10月20日に発表される。

《山口和幸》

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