三浦隆司、ラスベガスに散る…ボクシングWBC王座防衛に失敗
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
初めて聖地ラスベガスのリングに上がった三浦。5度目の防衛戦で得意のボンバー・レフトを決め、アメリカのボクシングファンに大きなインパクトを残したかったが、勝負は第1ラウンドいきなり大きく動いた。
立ち上がりわずか1分14秒、三浦は挑戦者フランシスコ・バルガス(メキシコ)の右を被弾、足下がふらつくほどのダメージを受けてしまう。このラウンドは必死のクリンチでしのいだ。
それでも三浦はダメージからの回復とともに本来のペースを取り戻し、第4ラウンドにはワンツーから得意の左を当てダウンを奪う。ボンバー・レフト炸裂にラスベガスの観客も沸いた。バルガスは右目が腫れ上がり、ラウンド間には必死の止血作業が続く。
何とか流れを変えたいバルガスは第8ラウンド、前へ出る圧力を強め再び攻勢に出る。やや三浦はガードが甘く、バルガスのパンチをもらう姿も見られた。だがラウンド終了間際、三浦がまたも左ストレートを命中させる。ロープに押し込んでの連打も見せたが、倒しきる前にゴングが鳴った。
これでいけるぞという空気になった第9ラウンド。好事魔多しとはこのことか、三浦は一瞬の隙からバルガスの左アッパーをまともにもらってしまう。さらに左フックもこめかみをとらえ、右フックも顔面を打ち抜く。ふらふらになった三浦は追撃の連打も受けマットに倒れた。
勢いよく立ち上がろうとする三浦だが足に力が入らず転ぶ。何とか立ち上がると両拳を高く突き上げ、ダメージはないとアピール。だが足下が怪しいのは明白だった。
第1ラウンドのようにクリンチで逃れようとするが、バルガスも構わず決めにくる。ダメージの深さから、今度はクリンチばかりだと試合を止められる可能性もあり、三浦はパンチで反撃を試みる。しかし動きからリズムが失われた三浦は、バルガスの右を再び被弾。今度こそレフェリーが割って入り試合を止めた。
まさに壮絶、討ち死にという言葉がぴったりくる試合に、「素晴らしい試合だった。ポイントではリードしていただけに残念」「結果は残念だけど個人的に今年のベストバウト」「悔しくも素晴らしい試合でした」「最近では見ることができない素晴らしい迫力のある試合でした」「あの負け方は悔しい。涙が出そうだ。立ち上がってレフェリーに止められるまで闘ってる姿はカッコよかった」など多くのボクシングファンが興奮を覚えた。
新チャンピオンのバルガスはメキシコ出身の30歳、プロ戦績は24試合23勝1分け17KO。今回はランキング1位での指名挑戦試合だった。
《岩藤健》
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