11月25日、ヴェルディグラウンドで「VERDY Over-40 Football」が開催された。ヴェルディ主催の、40 代以上の男女、いわゆる「シニア世代」を対象として開かれた個人参加型のサッカーイベントだ。
当日はあいにくの大雨。スタート時間が20:50ということもあり気温も低い。グラウンドに向かう途中の雨で、すでに僕は気が参っていた。元来人間は雨が嫌いなのだ。しかし、そんな鬱々とした気持ちもグラウンドに着いた途端に吹き飛んだ。
悪天候の中でもボールを蹴る楽しさを忘れない参加者たち。今日参加したのは10名程度であったが、雨に濡れた芝に滑りながらも、だれもが笑顔を見せプレーしていた。
「これまでの人生におけるいぶし銀経験を活かしていただき、40代を超えても輝き続ける『レジェンド』を目指していただくべく、本イベントを開催しました」とスタッフは話してくれたが、まさに「レジェンド」の姿がそこにはあった。
人生の先輩たちが笑顔を見せながらも真剣にプレーしているというのに、人生の「じ」の字も知らない若造の自分が雨ごときにやる気を削がれているのは、あまりも情けない。
「こんな天候の中でも来る人たちは、同様のイベントがあるときには毎回参加しているような顔なじみですし、まず、好きなんですよね、サッカーが」と参加者の1人は話してくれた。
ヴェルディグラウンドを開放して参加者にサッカーを楽しんでもらうイベントは月に数回開催されているということだが、豪雨でも参加するメンバーくらいになると、ほぼ毎回イベントに顔を出しているという。お互いの顔も覚えてしまっているということだ。
サッカーに対する意識が高いのはもちろんだが、とりわけヴェルディグラウンドで実際にプレーすることができるというのもうれしい。「ここでラモスが練習していたのか…」と考えるとまるでヴェルディの歴史を紡ぐ一員になったかのように感慨深くなる。
さて、「40 代以上」という条件ではあるが、特別に20代であるわたくし、編集部オビナタも参加させていただく運びとなった。イベント内容だが、フルコートの1/4サイズにミニゴールを設置し、ひたすら試合を行うというもの。試合の中で技術、戦術、駆け引きを学ぶというヴェルディ伝統に則っているということだ。
先輩たちの年齢を2で割ったような年齢である自分は、サッカーだけではなく、様々なものを学ばせていただく気概でグラウンドに立った。
とは言っても「40代以上でしょ、いくらなんでもサッカーに関しては、そもそも動けるし、手加減しなくては…」と思っていた。わたくしオビナタ、高校時代までサッカーの盛んな高校で日々練習していた経験もあり、多少の自負があった。しかし、甘いのは僕の方であった。
超上手かった、ビビった pic.twitter.com/A4kMnXtdWa
— オビナタ (@cyclecycle) 2015, 12月 7
な、なに、この人たち…。
まず、上手い。
もちろん初心者も混ざっていて、全員がトップレベルというわけではないが、雨で滑る芝のグラウンドの中、ボールをピタリとトラップする技術には脱帽。初心者の方をサポートする動きや、特徴を引き出すパスもお手の物。
股抜きされたオビナタは、もはや清々しい気持ちであった…。
そして、動ける。
え、何者なの?スピードもあるし…。なんだか自分が恥ずかしくなった。あとでわかったことだが、全国大会に出場経験のある先輩もいたらしい。なるほど。
無我夢中で雨に打たれながらボールを追いかける1時間はすぐに終わってしまった。体感は一瞬。高校時代を思い起こすかのように、無心でボールを追いかけた。レベルが高いなかでも楽しさがあり、すぐに溶け込むこともできた。サッカーに、人間の深みも表現されており、僕はその深さに包まれながらサッカーしていた。
「レベルが高い」と記したものの、どんなレベルの人が参加しても楽しめると感じたイベントだった。
個人のレベルというよりも、「イベントの質が高い」といった意味合いが強いかもしれない。せっかくの機会だからみんなで楽しもう、といった思いが汲み取れた。もちろん、この日は悪天候ゆえ、技術的にも意識的にもレベルの高い参加者が集まったといえるのかもしれない(実際、主催者側も今日は意識の高い人中心に集まっていますね、と話していた)。
が、基本的にどんなレベルでも気兼ねなくプレーできるので、体を動かすにはちょうどよいイベントとなりそうだ。
なお、参加者にはヴェルディファンが多数を占めるようで、サッカー経験が全くなくてもヴェルディファンの方は参加してみると、きっとこの雰囲気に馴染めるだろう。40代以上ではなくても参加できる個人参加型のイベントを月に数回程度開催している。
人生の先輩たちとサッカーしてきました。 pic.twitter.com/Dk5BjmBY0W
— オビナタ (@cyclecycle) 2015, 12月 7