【GARMIN ForeAthlete 920XTJ インプレ前編】水中での心拍モニターも実現する最高峰GPSトレーニングウォッチ
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◆61gのボディであらゆるアクティビティに対応、バッテリーは22時間連続使用できる大容量
ランニングウォッチはストップウォッチ付きの腕時計から始まり、電子化によって劇的に進化してきた。GARMINはGPSを小さな腕時計に搭載することで、さらにその可能性を拡大。最新のランニングウォッチは単なる計測器ではなく、アスリートの走りを評価したり、アドバイスをするバーチャルなトレーナーにまで進化している。そんなランニングウォッチの、高性能かつ多機能な方向での到達点といえるのが、このForeAthlete 920XTJだ。
本機はGPSだけでなく加速度センサー、気圧高度計、さらに電子コンパスまでも本体内に内蔵している。GPSだけでも走行ルート、走行距離、走行ペース、自動ラップといった機能が使えるのだが、Gセンサーによってランニングピッチやフォームの解析、スイム時のストローク数のカウントといった、にわかに信じがたいような機能も実現している。気圧高度計は山岳地でも正確な高度、勾配の測定を可能にし、電子コンパスでいつでも正確な方角がわかる。電子コンパスは先代モデルの『910XTJ』にはなく、本機で初めて採用された。
これだけのハードウエアを詰め込んだ本体は重さがわずか61g。電子コンパスを追加し、バッテリーライフも伸びたにもかかわらず、先代モデルの72gから大幅な軽量化を実現した。本体のサイズも小型化し、先代モデルが54mm×61mm×15mmだったのに対して、は48mm×55mm×12.7mmと二回りほど小さくなっている。この小型化に関連してか、先代モデルでは廃止されていた時計モードも復活した。先代モデルは普段使いの腕時計にするには大きすぎたが、本機はダイバーズウォッチ程度の大きさ。これなら腕時計として使えるという判断なのだろう。
バッテリーライフは、先代モデルが20時間であるのに対して、本機は22時間となっている。新たに搭載されたウルトラトラックモードを使えば38時間の連続使用も可能だ。ウルトラマラソンではタイムが10時間を大きく越える100km走や、24時間走り続けるというハードな種目もあるが、本機なら余裕で対応できる。また、本体はこれまでと同じく50メートル防水で、水泳でも安心して使える。広い海の上でも正確な現在位置、泳いだ距離やペースがわかるのは本機の大きなメリットといえるだろう。
ところで、本機から搭載された電子コンパスについて、GPSで方角がわかるのに必要なのかと思う人もいるかもしれない。おそらく、電子コンパスはトレイルランでの使用を想定して搭載されたと思われる。GPSによる方角の測定は、移動中でなければ使えない。カーナビなら停車時に車両の向きが変わることはほぼ無いので、GPSのみでも方角を見失うことはないが、徒歩では別だ。立ち止まればすぐにGPSによる方角の表示は当てにならなくなる。通常のランニングやマラソンであればそれが問題になることはないが、トレイルランでは休憩したり、コースミスや道に迷うといったトラブルもありえる。そんなとき、立ち止まったままでも正確な方角を表示できることが役に立つのだ。
◆水中でも心拍を計測できるトライアスリートのためのハートレートセンサーも登場
当然ながら、本機は無線接続のANT+にも対応している。ハートレートセンサーや自転車のケイデンス/スピードセンサー、パワーセンサー、フットポッドなどを組み合わせて、さらに多くのデータを計測することが可能だ。ただし、そういったセンサーは本機にいっさい付属せず、本体と充電用クレードルのみのパッケージで販売されている。ランニングウォッチではハートレートセンサーが付属することも多いのだが、本機にはそれもない。
ハートレートセンサーは様々なトレーニングに必須といえるほど重要なアイテムだ。しかし、本機を購入するユーザーは、おそらくこれが初めてのフィットネスデバイスではない。そこで、ユーザーの手持ちのセンサーと重複することがないように、本機は本体とクレードルのみで販売しているのだろう。したがって、もし本機を購入するのにセンサーをなにも持っていないのなら、同時に購入しておくべきだ。ランニングやスイミングならハートレートセンサー、自転車ならさらにケイデンス/スピードセンサーも使ったほうが、より効果的なトレーニングができる。
ここで、「スイミングにハートレートセンサー?」と思った人もいるかもしれない。従来の常識では、ハートレートセンサーは水中では使えないからだ。しかし、GARMINから本機のアクセサリーとして販売されている新型のハートレートセンサー「HRM-Tri」は、水中での使用が可能になった。従来製品同様、胸に装着するチェストベルトタイプだが、水中でも心拍を測定し続け、そのデータをセンサー自身が保存する。水中では電波が減衰されてANT+による無線接続が使えないからだ。保存したデータは水から上がったあとに、本機に送信するようになっている。もちろん、ランニングやバイクでも利用可能で、トライアスロンでもスタートからゴールまで切れ目なく心拍を測定できる。
《山田正昭@レスポンス》
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