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【THE INSIDE】高校野球の春季大会にみる、移ろいと味わい方

オピニオン コラム
一冬越えた成果を発揮する、春季大会
一冬越えた成果を発揮する、春季大会 全 8 枚 拡大写真
4月は1年のなかでも特別な味わいのある月だ。特に学校関係では、卒業生を送り出して、どこかにちょっと寂しさのあるところに、新入生が来て、フレッシュさを呼び起こしてくれる。

そして、在校生も気がつけば一つずつ学年が上がっている。そんな空気を感じながら、高校野球では春季大会が始まっている。地域によって、それぞれの差異があるのも春季大会の魅力である。

(文/手束 仁)





桜の開花とともに、4月独特の雰囲気を味わいながら部活動の現場もそれぞれに、新たなやる気が漲ってくる季節でもある。

高校野球では、桜の開花や新学期の始まりとともに(地域によっては、それ以前に)、春季大会が始まっている。冬の間の地味なトレーニングや反復練習で培ってきたこと、学んできたことを試す時期でもある。

学年も一つ上がった選手たちは、随所に「よーし! やってやろう」という気持ちになったり、高校野球選手としてもメンタル部分でも大きく成長していく時期でもある。

そんな雰囲気が漂っている春季大会も真っ盛りとなってきた。

加盟校の多い東京都や神奈川県では3月のうちに、それぞれの地区ブロック予選が行われている。各府県も、それを追うようにしてブロック予選が始まっていく(県によっては、ブロック予選を開催しないでいきなり県大会というところもある)。そして、代表校によって都大会や県大会が争われ、4月中から5月連休頃を目途に県代表が決まって、次のステップとなる関東大会などの、それぞれの地区大会へ進出していく。





春季大会は、夏の最終的な本番へ向けての試金石という要素もある。また、部員の多い選手層の厚いところでは、直接甲子園がかかっている大会ではないということもあって、いろいろ試してみたいというところも少なくない。それに、選手たちにとっても、ここで起用されてアピールしていけば、夏へ向けての自分のポジションもより明確になっていくというものだ。

近年では、ことにリトルシニアやボーイズリーグなど少年野球時代からの注目度も高い。だから、早稲田実の清宮幸太郎君のように入学する以前から、注目選手となっているというケースもある。早くから、注目されることで、モチベーションも上がっていくという選手もいるであろうが、プレッシャーとならないとも限らない。

それでも、今の時代は、以前とは異なり、そんな素質のある下級生を迎える上級生たちも温かい。だから、「アイツ、いきなり目立って鬱陶しいから潰してやれ」などということは少なくなってきている。

むしろ、「とても素晴らしい選手だと思うんで、彼がいいプレーをしやすいように、ボクたちも頑張っていかなくてはいけません」と、謙虚にしてよい子が多い。もちろん、そんなよい子たちの高校野球の魅力が薄くなってきて来たのかというと、そんなことはない。近年の甲子園での観客の入りだけではなく、地区大会でも多くの人々がスタンドを埋め尽くしている。

高校野球がスポーツ文化として、見る側とする側の中で見事に融合しているといってもいいであろう。

そして、見る側の立場の意識も、好プレーはきちっとたたえ、そして大人として応援し励ましてあげられるという、そんな光景も多く見られ感じられる。

時代の流れの中で、それぞれの価値観も変わってくることもあるだろう。また、学校そのもののあり方も、高校野球そのもののあり方も、きっと変わっていっているに違いない。ただ日々その中で触れていると、その微妙な変化に気がつかないということもあるものだ。そんな時には、少し引いてみながら、「今、どんな位置になっているのだろうか…」と、物事を見つめていくのもいいのではいなだろうか。

桜の満開の下で、春季高校野球がスタートして、新緑の季節になると、この夏へ向けての高校野球勢力構図もまた、ハッキリしてくる。

そんな移ろいを感じながら、春の高校野球を見つめているのもまた、楽しい時間ともいえるのだ。

《手束仁》

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