2人の対戦は、本年7月29日~31日に北海道・恵庭にて開催される「ネスレマッチプレーレクサス杯」のエキシビションとして行われる。この大会で、片山晋呉氏がホストプロを務めていることが対決の実現した背景だ。
中田氏はゴルフを始めておよそ1年半。デサントゴルフは、中田氏がゴルフ練習に励み、上達していく姿に迫ったムービーをブランドサイト内で展開している。この取り組みを受けるかどうか、中田氏は当初迷ったという。
「サッカーをしていた時は、自分の練習している様子を人に見せることはなかった。うまくいかない時や、辛い時を人に見せたくない方だったので。今回はそう言った様子を人に公開していくのだから、やる、と決める時には勇気が必要だった」
コーチを務めている谷将貴氏は、「やはり素晴らしい身体能力を持っている。素材がいいので、どう芯を作っていくかしっかりと考えた」と中田氏のポテンシャルを絶賛した。
まずはベースを鍛えるべく、小さいスイングからトレーニングを積み重ねていった。「ようやく一人前のスイングになったかな」と谷氏は微笑む。
中田氏は教えられたことを「噛み砕く」のがうまいそうだ。教えられたことに、自分なりに考えた事、感覚を混ぜ合わせていくのは選手時代からの習慣だ。
「コーチ、監督に言われたことをそのままやるのが好きじゃなかった。なぜ、どうして、それをやらなければならないのか。そういったことを考えるのが好きだった」
ゴルフ界の常識にも疑問を投げかけた。中田氏はドライバーを使うことを好まず、アイアンを用いてのスイングを極めようとしている。これは恐らくサッカー選手時代の経験によるものだ。
現役時代、中田氏はインサイドキックを好んで使った。ショートパスなどに多用される、最も正確に蹴ることができるとされる方法だ。中田氏はパスに限らず、さまざまな場面でインサイドキックを使った。
「インステップキックで狙ったところに蹴れるのは正直10回中数回だった。シュートはインステップキックで蹴るべきだ、という常識みたいなものがあったけれど、僕はインサイドで誰よりも強く、遠くに飛ばせるように練習した」
この成功経験をゴルフにも当てはめようとしたのだろう。
「ドライバーはプロでも失敗しているシーンを見る。それなのに、当たり前のように難しいドライバーを使っている意味は何なんだろう、と思うことがあった。それなら僕はアイアンできちっと正確に飛ばせるように練習したいと思った。もちろんその先にドライバーが見えてくるのかもしれないけれど」
精度に重きを置く中田氏の性格には、ドライバーよりもアイアンが合っていた。「本当に(中田氏のアイアンは)普通のドライバーくらい飛びそうな気配がありますよ」と谷氏は話す。
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片山晋呉プロとの勝負にも中田氏は意欲的だ。
「ただ遊びでやるのではなく、ひと泡吹かせるにはどうしたらいいか考えている。目指す目標がハッキリしていていい。本番までに、これだけは自信を持てる、といった状況に持っていきたい」
多くの事業を手掛けて多忙な中田氏。だが6月は仕事を減らし、7月の勝負に備えるという。
「始めた頃は『この競技つまんないけれど、半分仕事だからやるか』という感じで続けていたが、最近ようやくゴルフが面白くなってきた」
本気になった中田氏の成長度合いは、関係者も目を見張るほど。デサントゴルフGBMマネージャーの武市一氏は、「初めの頃と比べると明らかにスイングが変わっている」と驚きを隠さない。
片山プロには、「驚異的なスピードで成長している。1年半でここまで成長する人はなかなかいない。足の使い方さえ覚えれば、とんでもないレベルになる」と言わしめた。
中田氏のゴルフの実力は7月に明らかになる。