流行が終われば忘れ去られていくものが多いですが、生活の中に密着してしまうものも少なくありません。サイクリングを始めとするスポーツがその代表。オーストラリアでは、スポーツが普段の私たちの生活の一部になっている感があります。
日本でも人気のロードバイクを例に、私の住む南オーストラリア州のロードバイク事情と生活に密着している理由を検証したいと思います。
「オーストラリアは広く、スポーツをする環境が整っている」と日本からの旅行者は口をそろえて言います。しかし、それだけでスポーツが定着するでしょうか?
確かに走るための環境整備は大切です。でも、それだけでは生活に密着することにはならないと感じています。ライフスタイルの中に溶け込ませるための他の要素はどうなのでしょうか。
●生活に密着することは、子どもの教育が大きく関わる?
ブームという一過性のものは年齢も大きく関わると最近思い始めています。世代を超えたものは次世代へと語り継がれるからです。例えば中高年で何かがブームになった場合、それはいつかは消え去ってしまう。ブームで終わらないためには子どもたちも巻き込むことで次世代へと語り継がれていきます。
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小さな子供は父親が連れてくる
オーストラリアのサイクリングの場合、どのように子どもを巻き込んでいるのか。
(1)親が一緒にサイクリングへ連れ出す
(2)サイクリングイベントでは子ども向け企画も同時開催(ファミリー参加型)
(3)「危ないからやらせない」という観念があまり存在しない
(4)親もさることながら子どもに時間的にも精神的にも余裕がある
学校での勉強をこなすことが基本のこちらの学生は、放課後や長い休暇に勉強から解放されます。そこには時間も精神も自分に余裕があることになります。これはやはり学校との関わりが大きく左右。
●オーストラリアのスポーツは一過性で終わるかどうかの分岐点に来ている?
普段の生活では、日本に比べると子どもたちの郊外での活動をよく見かけます。
しかし、子どものスポーツ教育を進める団体“スポーツ・アスリート・オーストラリア”のスタッフは、「今はコンピューターやスマートフォンの使用やテレビを見る子供たちが増えてきていてそれがスポーツを推進するためのネックになっている」と語ります。
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海でのスポーツも多く、夏は子どもたちも参加する
インターネットにアクセスする子どもたちも増えてきています。最新の国税調査(2012年)によると約90%の子どもたちにインターネット環境が整っており、この数字はコンピューター類に向かう時間が長くなるという表れ。
これはどこの国も同じことのようです。調べものが多いオーストラリアの子どもたちの宿題は、ほとんどがインターネット環境が必須。そのような中で学校以外の時間をいかにスポーツで過ごさせるか。
各種スポーツをブームで終わらせないためには、これからの学校を含む環境作りが重要なポイントになりそうです。