先発メンバーが発表されるとヤフオクドームがざわついた。この日の日本ハムは1番・投手として大谷を起用。大谷のDH解除には慣れているパ・リーグファンも、さすがに1番打者は予想外だった。大谷も慣れない打順に、「ビックリしました」と振り返っている。
それでも奇策を単なる奇策で終わらせないのが大谷だ。甘く入った初球のスライダーを完璧にとらえると、打球は右中間スタンドへ飛び込む先制の第10号ソロ。投手による初回先頭打者初球ホームランはプロ野球史上初。
「まっすぐを思い切り打とうと思ってたんですけど、スライダーが浮いてきたので振りました」
本塁打のほかにも大谷は3つの四球を選び、2打数1安打、1本塁打、1打点、4出塁。1番打者としての役割を果たした。投手としても四回までは毎回の安打を許すが、尻上がりに調子を上げ8回無失点。五回以降はソフトバンク打線を無安打に抑えている。
投打で勝利に貢献した大谷にファンからは、「漫画の登場人物だよ」「漫画でもやりすぎって言われる」「1番に入れる監督もすごいけど、ホームラン打つ大谷…」「15勝&15本が見たい」などの声が寄せられている。
大谷の1番起用について栗山英樹監督は、「ずっと考えてきたこと。準備の問題があるし、3番だと難しい」と説明。投球までの準備を考えると、1番のほうが慌ただしくないと判断したと明かした。
大谷の初球先頭打者アーチは、「野球のロマン。ファンの方が度肝を抜かれるようなプレーだった」と称賛。期待の大きさから普段あまり大谷を褒めない栗山監督も、この日は特別だった。