外国人の免税特権で購入するフランス車にカーナビをオプションで搭載するようになったのは10年ほど前だ。それまでは地図も持たずにツール・ド・フランスを追いかけてきた。だってフランスの道路標識は完璧で、旅行者に優しいから迷うことはあまりなかったのだ。
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ルノー・メガンヌの最新モデルに車載カーナビは標準装備
で、本当に便利だ。これがないと円滑な取材ができないくらいの存在だ。コースへのアクセス、迂回路、ゴール地点にあるサルドプレス(プレスセンター)の位置、その日のホテルも検索できる。フランスでもう迷うことはほとんどない。今年はマニュアルシフトに技術的な問題があるというので初めてオートマのクルマにしたが、こちらのほうも使ってみると格段に楽!
STIなどの機能路線を推進したシマノの三代目社長・敬三さんが、「人間はな、楽を覚えたらもとには戻らんで」と言ってたけど、その通りや。もう二度とマニュアルにもカーナビなしには戻らないと思う。
実はここ最近、ドライブを楽しみながら運転していると「あ、ここ数年前に見たな」という景色や建物に気づくことが多い。余裕ができたからかなと考えたが、そうではなくてカーナビを使っているから必死に道探しをしなくていいのだ。かつては地図を片手に道路標示を血眼になって探してばかりいたからなあ。
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フランスのカーナビ。言語も選択できる
ただし、いきなりツール・ド・フランス取材をカーナビ頼りでやり始めると、フランスの主な町がどこにあってどれくらいの距離かを絶対に覚えないだろう。ボクは相当苦労したので頭の中にフランス地図が入っている。そのうえでカーナビを駆使することで確実に旅をしていける。最新機器を駆使するにはある程度の基本知識が必要である。
免税特権で購入するフランス車については、すでにコラム紹介しているので詳細はそちらを読んでもらえるとありがたい。
●山口和幸の茶輪記】フランスには外国人が免税で新車を購入できるシステムがある
こちらのほうも進化が止まらない。オートマのルノー・メガンヌは最新モデルで、リッター25kmは走る。ウインカーを出さないで車線のどちらかに近づきすぎると警告音が鳴ったり、エコモードの指針を表示するインパネ仕様だったり。とても快適だ。
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運転席よりツール・ド・フランスのコースを撮影。もちろん停車して撮影
フランスの県道は並木の根っこがアスファルトを持ち上げるので、細かな振動を吸収できるようなサスのセッティングがフランス車の基本。こんな最新モデルの横を現役のシトロエン2CVが走っているのもフランスらしい。朝に収穫した卵を荷室に置いて走っても割れないくらいなサス設計らしい。
日本人旅行者はレンタカーを使わない人がほとんどだが、GPSウォッチも手軽に活用できるのでオススメ。テキトーに散歩してもどこを歩いたか記録してくれるので旅の思い出になるし、迷子になってもスタート地点に戻れるかも知れないのが魅力だ。