【THE REAL】ジャガー浅野拓磨が貫く信念…ドイツ2部から名門アーセナルでまばゆい輝きを放つために | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE REAL】ジャガー浅野拓磨が貫く信念…ドイツ2部から名門アーセナルでまばゆい輝きを放つために

オピニオン コラム
浅野拓磨 参考画像(2016年7月29日)
浅野拓磨 参考画像(2016年7月29日) 全 8 枚 拡大写真
日本代表を率いるバヒド・ハリルホジッチ監督も、ホッと胸をなでおろしているはずだ。日本代表FW浅野拓磨がブンデスリーガ2部のシュツットガルトへ期限付き移籍――26日夜に伝わってきたニュースは、日本サッカー界が待ち望んだ朗報だった。

まもなく幕を開けるワールドカップ・アジア最終予選。25日に発表された24人のメンバーのなかに、当初の構想ではリオデジャネイロ・オリンピックで2ゴールをあげた浅野は含まれていなかった。

しかし、リストに加えていたFW金崎夢生が試合中の選手交代をめぐり、所属する鹿島アントラーズの石井正忠監督との握手を拒否。ベンチへ下がった後も怒り心頭の表情で詰め寄る悪態をついてしまう。

規律と和を重んじる指揮官は「私には受け入れ難いことだ」と、即座に金崎を代表から外すことを決断。浅野と入れ替えるに至ったわけだが、21歳のホープに対して25日の記者会見ではこう言及してもいた。

「本来であれば、浅野は呼ぶべきではないかもしれない。彼の状態が気になっている」


◆金崎夢生との入れ替え…厳しい浅野のビザ獲得


7月にサンフレッチェ広島からプレミアリーグの名門アーセナルへの完全移籍を果たした浅野だったが、プレーするために必要な労働ビザを取得できるかどうかがわからない状況が続いていた。

イングランドの選手たちにより多くの出場機会を与えるために、イングランド・サッカー協会(FA)はプレミアリーグのクラブがEU圏外の選手を獲得する際に厳格なハードルを定めている。

その筆頭条件が、過去2年間で代表チームにおいてどれだけ出場しているかどうか。それも国際親善試合ではなく、ワールドカップ予選や大陸選手権、日本の場合はアジアカップといった公式戦が対象になる。

求められる試合出場数の割合は、過去2年間の平均FIFAランキングが10位以内の国の選手は30パーセント、31位から50位までの国の選手ならば75パーセントにまではね上がる。

残念ながら日本は50位にわずかに及ばない。もしギリギリで食い込んでいたとしても、浅野は公式戦に1試合も出場していない。この時点で、原則的には労働ビザが発給されないことは明白だった。

あとは浅野の才能と可能性をFAが認め、特例として申請が認められるかどうか。しかし、アーセナルから何も連絡がないままオリンピックを戦い終えた浅野は、イギリスに向かわずに日本へ帰国している。

こうした扱いに噛みついたのがハリルホジッチ監督だった。日本代表メンバーを発表した25日の記者会見では、旧知の間柄であるアーセナルのアーセン・ベンゲル監督へ抗議の電話を直接入れたことを明かしている。

「誰に言われたのかはわからないが、オリンピックの後は『日本へ帰って休め』となったようだ。私もベンゲルへの電話で『なぜ日本で15日間も休まなければいけないのか』と話した。オリンピック期間中にすべての問題が解決されているはずだったが、日本に帰らざるを得ない状況になったので、私たちが環境を整えてみっちりとトレーニングを積ませた。いまのところロンドンへ行ったという話は聞いたが、その後はコミュニケーションを取ることを含めて、浅野は難しい状況に置かれている」

所属がどこになるのであれ、コンディションを考えれば、ヨーロッパのシーズン開幕を間近に控えた段階でオフは取れない。だからといって、古巣サンフレッチェに戻って練習するわけにもいかない。

浅野が置かれた状況を不憫に思ったハリルホジッチ監督が、都内で自主トレを行えるように手配した。もっとも、指揮官が危惧したのは体ではなく、心のコンディションだったはずだ。


◆浅野の心


日本代表FW宇佐美貴史が今夏に移籍したブンデスリーガ1部のアウグスブルクをはじめとして、いくつかのチームが期限付き移籍先として報じられる。宙ぶらりんな状態ほど、心を不安に陥れるものはない。

アーセナルは20日になって、労働ビザを取得できなかったことを明らかにした。特例での承認という一縷の望みが断たれたことになるが、実は浅野自身は誰よりも泰然自若としていた。

「どうなるかというのは僕にはわからないですけど、もしレンタルということになったとして、僕が常に考えているのは、目の前の環境に対して100パーセント全力で頑張っていくこと。どのチームにいってもやるべきことは一緒だと思ってきたし、その気持ちはこれからもまったく変わりません」

この先、どんなことが起ころうとも自分自身を見失うことはない。21歳にして「断固たる意思」を胸中に宿らせていた浅野は、ヨーロッパへの移籍そのものに対しても独自の視点で向き合ってきた。

「海外でプレーすることが自分にとってのゴールではないですし、じゃあ海外に行けばいいのかと言われれば、別にそれがすべてとも思っていません。自分のレベルをより高めるために必要なのであれば、自分はそこにチャレンジしたいと常に思ってきました。もちろんプロになってからも、より高いレベルを目指したい気持ちは抱き続けています」

世代ごとに編成される日本代表において、23歳以下がメインとなるオリンピックは集大成の舞台となる。浅野の場合は、リオデジャネイロでの戦いを終えれば、あとは年齢制限のないA代表での戦いしかない。

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《藤江直人》

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