特に10000mでは「リオでは入賞を狙う」と目標を掲げていたが、17位でレースを終えた。また、5000mでは全体28位で予選敗退だった。
どのような思いでこの大会に挑み、そして終えたのか。レースを終えたタイミングで、リオデジャネイロ五輪に対する率直な感想を大迫選手に聞いた。
「10000mに関しては特に気持ちを入れて臨んでいたところではあり、特に10番以内はタイムを見ても狙えたのですが…悔しかったです。5000mに関しては決勝進出を狙っていたが、残れなかったことは悔しい」
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大迫傑選手
■大舞台で走るということ
目標達成のためには何が足りなかったのか。
「特にどこが(足りなかった)というのはない。振り返ると入賞はやはり力的に難しかったと思うが、トップ10に関してはリラックスするべきところでもう少し力が抜けていたら狙えた。リラックスするところでリラックスできなかった。ペースが上がったり下がったりするタイミング)で力みが出てしまったり」
オリンピックという大きな舞台でも、「この試合で大きく変わったこと、これがダメだと感じたところはない。結果は結果。今まで通りやっていくだけ」と淡々と述べる。
大舞台であることは特に意識せず、「いつもどおりを心がけたというか、普段通りの大会に臨むイメージだった。他の国際大会と異なるところはなかった。普段と同じように緊張したし、レース前の興奮も普段と同じようにあった」という。
ただ、「普段と変わることはない」と繰り返し述べた大迫選手でも、五輪という舞台ならではの応援を感じることはあった。長野県佐久市で、佐久長聖高校出身の大迫選手を応援するパブリックビューイングが行われていたのだ。このことに触れると、淡々とした調子から、口元を少しだけ緩め喜びを口にした。
「それはオリンピックと世界陸上の違うところだと感じた。そうやって知らない人までパブリックビューイングで応援してくれるのは力になった」
オリンピックに向けた練習で意識したことはあったのだろうか。大迫選手は、シューズの履き分けについて説明してくれた。
テンポ走、ペース走では『ナイキ ストリーク6』を使用してきたという。このストリークシリーズはお気に入りで、2年ほど前から履き続けている。スピード系のトレーニングでも足に負荷がかからないように『ストリート6』にピンをつけ利用することもある。
「使用頻度が高く、反発性、クッション性のあるお気に入りの一足です」
今シーズンのナイキのシューズは、スピードをテーマにしたアンリミテッドカラー。大会を通して多くの選手がナイキのシューズを履いた。その姿にも大迫選手は注目していたようだ。
「5000、10000mの決勝などでも(アンリミテッドカラーが)目立っていて、個人的にも印象的。今年のカラーというふうに捉えていた。一般の人にも強い印象だったのでは」
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リオデジャネイロ五輪陸上5000mを走る大迫傑選手 (c) Getty Images
4年後には東京五輪を控えている。
「地元開催ということで大きな目標にはなっているが、そこに向けてどうやって自分の気持ちを作っていくか、その時にどうありたいかはまだまだこれから次第で、これから積み重ねていくもの」
「今までのベース、これまでの積み重ねがあるのはもちろんだが、身近なところから一歩一歩積み上げていく。その結果積み上げたものがどこに向いているか。まだどうなるかわからない。ただ、もちろん日本開催なのでメダルを獲得するのはひとつの目標です」
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