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【THE REAL】川崎フロンターレの19歳・三好康児が経験した天国と地獄…輝きをます東京五輪の主役候補

オピニオン コラム
三好康児(川崎フロンターレ公式サイトより)
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■「ヒーローインタビューも少し考えた」

中村に求められてきた三か条を完璧に実践した。「ボールを受ける」「前を向く」はもちろんのこと、「最後の仕掛けで怖いプレーを演じた」ことで、30代のベテラン3人を手玉に取ってみせた。

セカンドステージだけで3ゴール目。ホームの等々力陸上競技場で、しかも勝っている展開で決めたのは初めてだったこともあって、よほど感極まったのだろう。三好は試合後に意外なことを打ち明ける。

「これを言ったらあれなんですけど、ヒーローインタビューも少し考えたりしていたので…」

もっとも、好事魔多し。脳震とうで退場したフロンターレGK新井章太の治療に時間を要したこともあり、異例の長さとなる9分が表示された後半アディショナルタイム。三好は天国から地獄へ突き落される。

マリノスに1点を返された約1分半後の98分。自陣の中央でボールを受けた三好は、次のプレーを選択しながら、最終的にはペナルティーエリア近くにいたMF大島僚太へバックパスを送る。

同点、逆転を狙って嵩にかかって攻めてくる相手。リードはわずか1点。残り時間は多くてあと2分。FW小林悠をして「別に前へ蹴ってもいい」と言わしめる場面では、まずありえないプレーでもあった。

しかも、パスのコースが微妙にずれる。ほんの数十センチだったが、大島ではなく司令塔・中村俊輔をけがで欠くいま現在のマリノスで最も危険なドリブラー、齋藤の足元へとわたってしまう。

すかさず齋藤はペナルティーエリア内へ切れ込み、途中出場でJ1デビューを果たしていたGK高木駿をもかわしていく。次の瞬間、ゴール左から送ったマイナスのパスにFW伊藤翔が左足を合わせる。

体勢を立て直した高木が、必死に伸ばした右手の先をかすめた伊藤のシュートが無情にもゴールネットを揺らす。まさかの同点に追いつかれた直後、三好は頭を抱えながらその場に座り込んでしまった。

「ちょっと足にきていたので、前を向くよりは、後ろに下げて蹴ってもらう判断をくだしました。(大島)僚太君とエドゥ(エドゥアルド)がちょうど後ろにいたので、僚太君に出そうと…自分としては丁寧に出したつもりだったんですけど、中途半端な位置にいってしまって。

それなら自分で蹴っておけばよかったと思っていますし、いい形で点は取れましたけど、残り時間が少ないところで失点に絡んでいるようでは、この先、試合で使ってもらえるかと言えばそうではないはずなので。自分のなかでもっと、もっと厳しくやっていかないといけないと思いました」

試合はアディショナルタイムが目安の9分台に突入した直後の100分に飛び出した、小林の執念のヘディング弾でフロンターレに凱歌があがった。劇的なシーンを巻き戻していくと、実は三好が絡んでいる。

中村が蹴った右コーナーキックが左に流れ、こぼれ球に追いついた田坂が振り向きざまにファーサイドに送ったクロスに小林が頭を合わせた。そして、このコーナーキックを獲得したのが大島と三好だった。

パスを受けられなかった大島が果敢にボールをもちあがり、三好とのワンツーからペナルティーエリア内へ侵入。右足で放ったループ気味のシュートを、榎本が何とかコーナーキックに逃れた。

直後にFW森本貴幸との交代でベンチへ下がった三好が、天へ届けとばかりに祈りを捧げた直後に奇跡は起こった。痛恨のミスもあり、「素直に喜べない」と白星を振り返った三好はこうも語っている。

「完全に自分のミスだったので、気持ちも落ちましたけど、まだ時間もあったので、何とか次につなげられればと。結果論ですけど、本当に勝てて、こうやって話せているので。自分が点を取ってチームを勝たせられれば一番でしたけど、尊敬できる先輩方がいるので本当に助けられたと思っています」

同点になった直後のシーン。何人かのフロンターレの選手ががっくりと肩を落とし、試合再開までに時間もかかった。「まだ終わってないよ!」とチームを鼓舞した中村は、苦笑いしながら三好に言及してもいる。

「点を取ってくれた選手なのであまり言わなくてもいいと思うけれども、今日に関してはもっとやれた。アイツもおそらくそう思っているはずだし、もちろん2失点目のときのパスミスといいうのはいただけないけれども、それでもアイツは下を向くことなくプレーしていた。

こういう経験がまた三好を大きくすると思うし、チームにとってもまたひとり、大きな戦力になる。若い選手には多少は目をつぶって、というのはあるけれども、言うべきことは言う。そうじゃないと伸びていかないので。東京五輪が見えてきているから、マスコミの皆さんもあまり騒ぎ立てないでほしいんですけど」

【次ページ 東京五輪を見すえて】
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《藤江直人》

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