奇岩が屹立する妙義山は日本のなかでも特異な景観を見せる山岳だ。イタリアのドロミテ山塊や中国雲南省の石林にも行ったことはあるが、登ってみる価値はある。
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上毛三山のひとつ、妙義山
妙義山の場合、登山道までクルマで簡単に行くことができて初級者でも挑戦しやすいルートもある。だからボクは小学生のときに「カニの横ばい」などのクサリ場を頑張って登った。
群馬県内の一般的な登山ルート(85ルート)を体力度と技術的難易度で評価した「群馬県・山のグレーディング~無雪期・天候良好時の登山ルート別難易度評価」というものが群馬県産業経済部観光局観光物産課、群馬県山岳団体連絡協議会から発表されている。体力レベルは1~6までで数字が大きくなるほど体力が必要。3までが日帰り登山が可能で、それ以上は1泊あるいは2泊が必要という目安が示されている。難易度は簡単なA~Dまでに区分されている。
例えば一般に知られている赤城山の黒檜山・駒ヶ岳(赤城神社・大洞)縦走コースは体力レベル2・難易度B、榛名天狗山(榛名神社)コースは体力レベル1・難易度Bと区分されている。
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妙義山のクサリ場
今回上った妙義山の石門めぐり(中之岳駐車場)は体力レベルが「1」なのだが難易度は「C」。コースは短いがクサリ場があってかなりの技術を要するという意味なのだろう。アプローチは登山者によって異なり、ボクの場合は道の駅みょうぎを出発して中間道と呼ばれるコースを歩いたので、体力レベルはもう少し高くなったはず。現地で会った人の中にはJR信越本線の松井田駅から歩いてきた人もいるので、体力レベルはおそらく3に相当する。
ガーミンのライフログバンドで集積したデータを使って、週末の里山歩きとレベル別登山の消費カロリーを大まかに見てみよう。里山歩きはボクが冬場に毎週のようにやっている鎌倉のハイキングコースを例にした。2015年2月28日には自宅から稲村ヶ崎温泉までのおよそ10kmを3時間で歩いて消費カロリー2295Kcal、歩数2万2759歩だった。
これに対して10月10日に行ったレベル2の妙義山では、距離およそ10kmを5時間で歩いて消費カロリー2164Kcal、歩数2万1669歩だった。
昨年10月14日には谷川岳を天神尾根経由(体力レベル2・難易度B)で登った。西黒尾根(体力レベル3・難易度C)を3年連続で踏破したかったのだが、強烈な横風でロープウェイを利用したこのルートに変更したのだった。このときのデータを見ると距離6kmを5時間20分で走破し、消費カロリー1万753Kcal、歩数1万7539歩とある。
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谷川岳の西黒尾根
富士山登頂でも4000Kcal前後なのでちょっとデータがアヤシイと思うが、本格的な登山となると体力勝負になってくるのである。ちなみに天神尾根のスタート地標高は1313m、最高標高の谷川岳オキノ耳は1977mだ。
「群馬県・山のグレーディング」は群馬県のすべての登山ルートを網羅しているわけではなく、専門家によれば掲載していないルートもあるという。例えば滑落事故の多発している表妙義の山頂を縦走するルート。一般にここをコース紹介してしまうと、技術力のともなわない登山愛好家が足を運びかねず、遭難の危険性が高まるからだと分析している。
登山はやはり身の丈に合ったコースに挑戦し、徐々に経験を積んでいくのがいいようだ。谷川岳の西黒尾根はスタート地標高が803mと低いので、天神尾根と距離は6.6kmとそれほど変わらないが、所要時間は7時間以上とワンレベル高まる。これからは紅葉のシーズンなのでステップアップのために谷川岳を歩いてこようと思う。