でも、せっかく来たのだから…という山登りにおいては、あまりよろしくない衝動に駆られて、寄り道をしたのが三条の滝である。
三条の滝までの道中は、尾瀬ヶ原の木道とはまったく異なる登山道になる。山あり谷あり沢あり。岩場にクサリ場、ぬかるみなど、アトラクションが多くて、なかなか登りがいのある道だ。
■迫力満点の三条の滝
えっちらおっちらと登山道を歩ききると、三条の滝の全容が一望できる観瀑台に出る。三条の滝は落差100m、滝の幅は約30mあり、日本の滝百選にも選定されている名瀑だ。その水の流れ落ちる勢いたるや、圧巻の一言に尽きる。
三条の滝の名前の由来は、水量が少ないと三筋に分かれて水が落ちることから来ている。この日は水量が多く、三筋に分かれて流れ落ちる様を見ることはできなかったが、そんなことを残念がる必要がないくらいに、ド迫力の滝であった。
途中にある平滑の滝も三条の滝とは違った魅力がある。三条の滝を「動」と表現するならば、平滑の滝は「静」。ゆっくりと、滑らかに水が流れ落ちる様は、見ているだけで心が落ち着いた。
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三条の滝を観瀑台から
■滝を見るには、少々体力が必要
この三条の滝のコースは、歩きごたえも、見ごたえもある。山小屋に泊まって、至仏山や燧ヶ岳まで行くのはちょっと…。でも、尾瀬ヶ原を一周しただけでは物足りない…。という人にはモッテコイのコースだ。
ただし、三条の滝を往復するとなると3時間はかかる。尾瀬ヶ原一周だけで6時間のコースだから、合わせて9時間は歩くことになる。それに加えて、帰り道はまた尾瀬ヶ原の平坦な木道を歩くことになるから、三条の滝の起伏に富んだ登山道と比べると落差が大きく、余計に疲れを感じてしまうだろう。
自称「百名山を踏破した」という体力自慢の友人Sですら、途中の山小屋で豪快なイビキをかいて寝てしまった。そのイビキは、まるで三条の滝の水が落ちる音のような轟音であった。