テレビ大阪が主催するサイクルモードインターナショナルは2005年に始まり、年に一度のイベントとして定着した。当初は「サイクルスタイル」という名称だったが、商標を有するウェブサイトがあったため、途中からサイクルモードに改称した。かつては東京国際自転車展という業界の商談を主にした見本市もあったのだが、一般向けを打ち出したサイクルモードの人気に押されて出展社・来場者が激減。2006年に17年の開催にピリオドを打っている。
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会場は試乗を待つ長い行列が
サイクルモードとしても一時期の「押せ押せ!」という環境ではない。高価でカッコいいスポーツバイクに試乗できるイベントとして、デート感覚で訪れる若者たちが押し寄せて話題になった。ところがこういった層は、「今日は自転車に乗れて楽しかったね!」といったイチゲンさんで、出展社から見れば高いブース出店料を出しているのに販売に結びつかない。
そういったデメリットから大手ブランドが相次いで撤退していった。ブリヂストンサイクル、トレック、キャノンデール、スコット、ジャイアントといったブランドがサイクルモードでは見られないのである。
サイクルモードの規模は縮小傾向にあるようだ。展示会場使用面積は2万7000平米から2万3625平米へ。出展された自転車数(フレームを含む)は1005台から983台へ。うち試乗できる自転車は402台から366台になった。一方で出展者数は152社・団体から167社・団体に微増。なかでも世界選手権ロードのチャンピオンブランドであるスペシャライズドがサイクルモードに復帰してきた。
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最新ギアの隣にはビンテージバイクのコーナーも新設された
サイクルモードの主催社は企画力で勝負する映像メディアのテレビ大阪であり、多角的な視点から新たな施策を盛り込んで来場者のハートをつかむようなイベント作りを心がけている。
今回はデジタルギア、セキュリティ、カスタムをテーマとした3つのゾーンを新設。ウェアラブル端末やバーチャルリアリティ機器など最新デジタルアイテムや海外で普及しているセキュリティ製品を数多く展示。
サイクリング旅を提案する「ジテンシャ×旅フェア」では、旅行先で出会った風景をカメラに収めるための写真術や、サイクリング先でおいしいコーヒーを楽しむ極意など、一味違ったセミナーを実施した。クルマに自転車を積んで出かけようをテーマとしたコーナー、電動アシスト自転車のeバイクコーナーでは日本初上陸のスポーツeバイクの展示や試乗など新たなトレンドを発信するテーマを提供している。
イベントの隆盛を判断する材料である来場者数を水増しすることなく発表し続ける、良心的な興業イベントであることも最後につけ加えておきたい。来年以降も自転車好きの人たちをワクワクさせるようなショーであることは間違いない。