【THE INSIDE】明治神宮大会高校の部から来春のセンバツを占う | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE INSIDE】明治神宮大会高校の部から来春のセンバツを占う

オピニオン コラム
早稲田実業vs静岡
早稲田実業vs静岡 全 14 枚 拡大写真
今年の第47回明治神宮野球大会、高校野球の部は東京と大阪の代表校による決勝となった。早稲田実業の清宮幸太郎君と履正社の安田尚憲君という東西のスラッガー対決も話題となり、例年以上に注目度が高かった。

1年間の集大成的な要素のある大学の部と違って1、2年生だけの新チームで戦う高校の部は秋季大会の各地区の優勝校が集い、来春の選抜高校野球大会(センバツ)の展望的な要素もある。

また、優勝した地区には明治神宮枠として1校増えるのも特徴だ。それだけに地区の名誉のために戦うという意味合いも強くなり、観る人にもさらに興味深いものになる。

早稲田実業・清宮幸太郎君

■優勝は履正社

結果として今大会は履正社が優勝したことで、近畿地区に通常の6校枠プラス1校増の枠が与えられることになった。“流しのブルペン捕手”の異名を持ち、この秋も全国の地区大会を見てきたという安倍昌彦氏は、「選手の個々の能力からしても、実力からしても、今年は近畿地区が抜けていた」と語っていたが、そういう意味で妥当な結果になったのではないだろうか。

決勝を争った両校は、ともに打撃を前面に出した攻撃型のチームだった。決勝戦のスコアにも表れているように、秋のこの時期のチームにしてはよく得点を取ったといっていい。全国的にも注目を浴びるスラッガーがいてチームを引っ張っているのが特徴だった。しかし、それ以外の選手もこの大会を通じてさらに飛躍したことも大きかった。

履正社では背番号16の松原任耶君が1回戦では一塁手として起用され、2回戦からは二塁手として出場し、打順も下位ながら当たりまくっていた。岡田龍生監督は、「こういう選手が出てきてくれたことも、収穫のひとつ」と大会での成果に挙げていた。

「今の子たちはオレが、オレが、という意識を持たんから、なかなか競い合って、そこからはい上がってくるということをしない。それが出てきてくれたことはいい刺激にはなる」と喜んでいた。

履正社・岡田龍生監督

早稲田実業では3番の清宮君が警戒された後を受けて、4番に座った1年生の野村大樹君が活躍して存在感を示した。野村君が打つことによって、清宮君を簡単に歩かせてはいけない気にさせるだけでも、その存在意義が大きかった。

■野手にも光る存在

好素材という点では、宇部鴻城の嶋谷将平君が攻守に光っていた。遊撃手としての守備範囲の広さと、捕ってから送球までの速さは特筆ものだった。そのうまさは、ソフトバンクの今宮健太選手の明豊高校時代を思わせるものがあった。

また、今大会は初戦敗退してしまったものの夏の全国制覇を果たした作新学院で、唯一そのメンバーで試合に起用されていた鈴木萌斗君もリードオフマンとして、そのポテンシャルの高さを示していた。

こうして野手では光る存在が多かったが、投手は期待の高かった静岡の池谷蒼大君が早稲田実業戦で「相手を意識しすぎて、力みもあって制球を乱した」ことで、本来の投球ができなかったことは残念だった。栗林俊輔監督も、「県の球場でも神宮であっても、甲子園であってもやることは同じ。いつものように投げていけなければいけない。それができなかったということは、(投手の意識としては)まだまだということ」と反省をしていた。

静岡・池谷蒼大君

投手で最も光ったのは、明徳義塾の強力打線に度胸よく内側を突いていっていた福岡大大濠の三浦銀二君の巧みな投球だった。古賀悠斗君のリードによるところも大きいようだが、175センチ、70キロという普通の高校生の体格ではあるが、きっちり練習して鍛えこまれているという印象だ。しかし、準決勝では早稲田実業に対して、多少意識過剰になっていて力みがあったのか前日に比べると制球も甘く、そこを狙い打たれてしまった。

福岡大大濠・三浦銀二君

また、チーム力としては明徳義塾が充実していた。初戦で作新学院を下したものの、2回戦では福岡大大濠の三浦君の術中にはまって敗退した。とはいえ馬淵史郎監督は、「春に全国の優勝争いしていくには、このチームで何が足らんか、何をせないかんのか分かった」と語る。

「去年のチームで、あそこまで(選手権ベスト4)行けとるのを今の選手も見とるから、自分たちもやれるとは思うとるはずや」とセンバツに向けて優勝宣言とも取れる強気な言葉も出ていた。それだけこのチームには手ごたえがあるということだろう。

いずれにしても来春の近畿勢は履正社と大阪桐蔭のそろい踏みが予想され、連続出場になりそうな滋賀学園もチーム力が高いという。2017年は近畿勢を中心として、高いレベルの争いが展開されていくのではないだろうか。

《手束仁》

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