高地トレーニングというと、マラソン選手などトップアスリートが標高が高く、酸素の少ない高地でハードなトレーニングをしているイメージがあります。少なくとも、私は自分には縁のないトレーニングだと思っていました。
高地トレーニングは、キツい運動をせずに高い効果を得ることができ、30分歩くだけで、平地での2時間分の運動に匹敵するといわれています。しかし、高地での気圧の変化で高山病にかかる恐れがある上に、遠征費やスケジュール確保などの面から、一般の人はなかなか高地トレーニングを経験することは難しいと思います。
しかし、その高地トレーニングが室内で、お手ごろ価格で、たった30分で体験できる場所があるのです。
今回は東京・三軒茶屋にオープンした、日本初のハイアルチテュード専門スタジオ『ハイアルチ』で高地トレーニングを体験してきました。
名前になっている“ハイアルチ”とは、high altitude(ハイアルチテュード、高地状態)から取った造語です。
従来の室内高地トレーニングは、マスクを着用するなど高価な機材が必要なことから、利用料金も高額なケースが多かったのですが、ハイアルチではその概念をまるごと覆します。オーストラリア企業と独占契約を結び、高地トレーニングを空間で体験できるのは日本でココだけです。
ハイアルチテュード・プログラム開発者の新田幸一さんがいろいろ教えてくれました。
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ハイアルチテュード・プログラム開発者の新田幸一さん
新田さん:高地トレーニングは、トップアスリートたちは必ずといっていいほど行っています。室内のトレーニングでは芸能人のお客様もたくさんいらっしゃいます。冷え性や不眠症、さらには化粧乗りが良くなるため、女性はエステ代わりに利用しています。
ヤマモト:しかし、室内高地トレーニングって他でもやられていますよね?
新田さん:はい、室内高地トレーニング自体はやられているところはあります。だいたいは、一人ひとりがマスクを着用するケースが多いです。しかし、ここハイアルチは、空間まるごと高地状態になっているんです。
ヤマモト:空間まるごと?この部屋に入ればもう高地なんですね。
新田さん:空間全体を高地状態にすることで、コスト削減を図りました。なので、他の室内高地トレーニングよりも圧倒的に価格が安くなっています。学生さんにもぜひ体験してほしいので、できる限り安くという目標がありました。まあ、一度体感するとわかると思います。やってみましょう!
■ハイアルチを体験してみる
今回は、スタッフの山賀さんとともにハイアルチを体験します。
山賀さんはフルマラソンの自己ベストが3時間19分でしたが、ここで働き始めて高地状態の空間にいることが多くなった3カ月後、自己ベストを3時間6分にまで短縮したそうです。
13分の短縮…。おそるべし、ハイアルチ…。
まずは、普通の空間でこちらの機械を使い、SpO2(血中酸素濃度)と心拍数を測ります。トレーニング中もスタッフの方が定期的に数値を計測してくれるので、無理なく目的にあったトレーニングを行えます。
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上がSpO2(血中酸素濃度)、下が心拍数
健康状態だと、SpO2は95~99あたりだそうです。私は通常時、98でした。
ここで、平地でSpO2を下げることの大変さを体感するために、モモ上げを30秒間行います。このモモ上げが意外とキツいキツい…。
終わった頃には息切れです。私、まだ若いのに…。
■筋力は鍛えれらない
山賀さん:では、もう一度SpO2を測りますね。
モモ上げ後のSpO2は、99。返って酸素を取り込む状態に。
ヤマモト:SpO2って、落とすの難しいんですね…。
山賀さん:平地でSpO2を80台に落とすには、トップアスリートでも倒れるくらいの運動量をこなさなければいけません。しかし、ここではたった30分歩くだけで2時間分の運動量になるのです。週に1回30分歩くだけで十分効果は得られます。ただ、筋力は鍛えれらないので、ランニングをされている方は平地での走り込みも大切です。
■そして高地空間へ
割とキツめのモモ上げやって上がったのに、本当に歩くだけでそんなに運動したことになるのでしょうか?
いよいよ、高地空間に潜入です。
扉が二重になっていたため、とんでもない低酸素状態が待ち受けているのかと思いきや、まったく普通の空間でした。本当にこの普通空間で2時間分の運動ができるのでしょうか?(まだ疑ってる)
新田さん:今ここは、標高2500mの状態になっています。
自走式のランニングマシンなので、初めてマシンを使う人は最初はなかなか手すりから手を離せず、「このまま高地トレーニングができないのでは」と一抹の不安がよぎりますが大丈夫です。
じきに慣れますし、仮に手を離せなくても高地トレーニングはできます。
空間をまるごと高地状態にしたスタジオで30分間歩いてきました!歩くだけで2時間分の運動量になります。ランニングマシーン初心者のため、最初は手を離して歩くのに苦戦しました…カメラアングルがおかしいのはただのミスです…#ハイアルチ pic.twitter.com/LYYxJcecTz
— CYCLE-やわらかスポーツ (@cyclestyle_net) 2016年11月25日
このままただ歩くだけです。5分ごとにSpO2を測ります。歩き始めてたった5分後に計測すると、なんと94に。
さっきはモモ上げ30秒を息を切らしながらやって99だったのに、5分スタッフさんと話ししながら歩いただけで減りました。疲れはもちろんありません。
山賀さん:けっこう適性ありますね!余裕でしたら少し早歩きにしてみますか?
@cyclestyle_net 少し歩くペースを上げるだけで、血中酸素濃度がガクッと下がります。SpO2 80代は平地だとかなりの強度の運動をしないと下がらないそうです。#ハイアルチ pic.twitter.com/gBkxoPBg1e
— CYCLE-やわらかスポーツ (@cyclestyle_net) 2016年11月25日
次の5分間は少し歩くスピードを上げます。すると、なんと88!
平地でSpO2を80台まで落とすためには、トップアスリートでもかなりの強度の運動量を求められますが、高地状態だとたった10分歩くだけで達成できるのです!
合計で20分間のウォーキングを行いました。今回一番キツかったのは、最初のモモ上げです。
■学生でも手が出せる料金に
ヤマモト:どうしましょう。怖いくらいに疲れを感じないです。
新田さん:最初この空間を開発した時、本当に効果が出ているのか僕らも不安に思いました。ですが、SpO2を測ると効果が出ているのがわかります。みなさんにも、効果を実感してもらうために、SpO2のこまめな計測を行っています。
ヤマモト:確かに、数値が下がるのが楽しくてガンガン歩いちゃいますね。
新田さん:逆に、数値を下げすぎると倒れてしまうのですが、スタッフが付いているのでその心配もありません。
新田さん:高地トレーニングを多くの人に体験してもらいたい。そのため、どうしたら安く提供できるかを考えた結果、空間そのものを高地状態にする方法にたどり着きました。なので、学生さんでも手が出せる料金まで落とし込むことができました。
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ひたすら歩く編集部のヤマモト
ヤマモト:今後、三軒茶屋から展開していく予定は?
新田さん:将来的には、一駅一店舗くらいみなさんにとって身近なものにしたいです。
ヤマモト:いいですね!これはぜひ通いたいです。
高地状態の空間にいるだけでも十分に効果があるため、今後はランニングだけでなく、ヨガやフィットネス、さらには高地状態のカフェなどを展開する予定とのこと。
ハイアルチテュード専用スタジオ「ハイアルチ」は、12月1日にグランドオープン。初回体験が通常3000円/回が1500円/回となっています。また、学生の方は特別プランをご用意しているそうです!先着100名限定で月会費が永久に2000円オフのキャンペーンも実施中。
私、最初は半信半疑でしたが、2日後に日課のランニングで効果を実感しました。いつもより格段に走るのが楽だったのです!
身体的な疲れはないのですが、体内は高地状態に置かれていたことで疲労しているため、猛烈な眠気が襲ってきます。その日はぐっすり寝ることができました。
これからも個人的に通おうと思います。
砂糖なし、グルテンフリー、添加物なしのスーパーなスイーツを頂きました!12g中2gがプロテインだそうです!#ハイアルチ #ブリスボール pic.twitter.com/Xm1hPPI7zM
— CYCLE-やわらかスポーツ (@cyclestyle_net) 2016年11月24日
取材協力:ハイアルチ三軒茶屋スタジオ