授業の冒頭、総合ビジネス学科の小森潔教授は「この社会文化論の授業では、ビジネスの第一線で活躍するプロを呼び、より魅力的な自分になるために、あらゆる角度から自分を磨くスキルを身につけたい」と学生たちに語る。今回は“靴磨き”を学ぶ特別講師として、コロンブスの小高公次氏、井上頼太氏、野田悠紀氏を迎えた。
座学で小高氏は、就職活動を来年に控えた学生たち36人に「面接官がどこを見るか」について伝えた。
「100社の人事部面接官に『面接官がどこを見るか』についてアンケートを取ったところ、1位が髪型だった。次に表情、姿勢、靴、スーツ、ワイシャツ、ネクタイという順位になった。ここで注目してほしいのは、上位3つは体に直接かかわる身だしなみ。4位から下は身につけるもの。その身につけるもののトップが、靴。さらにスーツやワイシャツ、ネクタイはクリーニングなどができるが、靴は自分で磨くもの。実はこの靴磨きで、面接や印象に差が出る」
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入社10年目の井上氏と、今年入社したばかりの野田氏は、実技でブラッシング、クリーニング、クリーム塗布、磨き、防水スプレーなどの大切さについて学生たちに教えた。
「ブラッシングが最も大事な作業。クルマの排気ガスやアスファルトのタールなどで染み付いた油汚れは、汚れ落とし剤で取る。下地作りもポイント。クリームは革の色に近い色を選び、少量を薄く伸ばしていく」
「靴専用の防水スプレーが、実は面接や打ち合わせなどで意外と重宝する。予期せぬ大雨や雪の日などに、防水スプレーをしっかりかけておけば、足元の心配も減る。濡れた足元で、面接に挑んでも集中できない」
学生たちは、ブラッシング、スプレー、クリーム塗布などを実践。靴用クリーム(55g)を手にして「これ値段はいくらぐらいですか?」と質問する学生に、「これね、家族全員で使っても、だいたい一瓶を使い切るのに1年ぐらいかかる。それで800円」と伝えると、学生たちはみなそろって「えーっ!」と驚き、パチパチパチと拍手。まるで通販番組のようなワンシーンが教室で起こっていた。